「わが郷土を語る」発行にあたって
田中野田町内会長 和気 健 平成20年8月吉日
田中野田の町内会長を長くおつとめ頂いた「中尾佐之吉」さんは、昭和62年より「ふれあい新聞」の中で「わが郷土を語る」として、実に41回にわたって田中野田の昔、ご自身の子供の頃の思い出や生活について細かく書き続けられておられました。こうした実体験に基づく貴重なお話は地に着いた郷土史であります。「そういえば確かにそうであった」「なるほどそうだったのか」と言う声とともに「次は何の話を書いてもらえるのか」と多くの人が楽しみにしていました。
資料としてきちんとした形で残したい、という思いがあったかどうかは分かりませんが、せっかくの貴重な田中野田の激変時代の歴史の証言となるものであり、何かの形で残したらどうかとの話が起こりました。そして、ご本人のご了承を頂き、今回発刊の運びになりました。
土地区画整理事業という大事業で、この地は大きく生まれ変わりました。様相は一変し、昔の面影を残す古いものがほとんどなくなってしまいました。昔を知るお年寄りも亡くなったり、元気がなくなったりし、次第に人々の思い出の中からも消えかけようとしています。
古きを訪ねて新しきを知る「温故知新」という諺がありますが、私どもの生活の基盤である田中野田の歴史を時々思い起こしながら、新たな発展に繋げて行かなければなりません。
この冊子の発行をきっかけにして、田中野田のことをよく知り、田中野田を愛する気持ちが深まること、郷土愛を育むきっかけになればと願って止みません。
最後になりましたが、発刊に当たり、原稿の整理等献身的なご努力を頂きました町内会副会長の田中建治さん・電子町内会和気博子さんには篤く感謝申し上げます。
かつて町内会の「ふれあい新聞」に載せてもらっていた私の拙い文を、この度冊子(CD)にまとめてくださった町内会有志の方々に感謝いたします。
これを読んで下さって、こんなお方も居られたのか、こんな話もこの地区にあったのかと気に留めていただけたら幸いです。
平成20年8月吉日 2組 中尾佐之吉
令和5年 新HPへ継承掲載にあたって 高塚由利子
中尾佐之吉さん(1917-2016)
大正6年3月生-平成28年4月逝去 満99歳(数え年で100歳)
県庁に勤務し定年退職。
田中野田町内会長を14年間務める。昭和53年~平成3年(1978~1991)
長女・邦子さんの話
「父のことが大好きでした。農作業はおそらく得手ではなく、読書派でたくさんの本を読んでいました。人前で派手な行いはなく、どちらかというと人に埋もれて目立たないタイプ。穏やかな父に怒られた記憶がありません」
私(高塚)の記憶
いつもニコニコ、穏やかな方でした。親戚筋にあたるのでよく行き来し、私は「本家のおじさん」、私の両親は「サァちゃん」と呼んでいました。町内会長を務めていたことは知っていましたが、若かった私は町内会との関わりが薄い状況で、生家を離れ20年ほど南区で生活していました。
平成30年(2018)に田中野田に戻り、御縁あって令和3年から理事を務めることとなり、町内のこと・人や行事など少しずつ様子が分かってきました。
今回、再掲載にあたり記事を読み返してみると、私が知らなかったこと、子供の頃、目にした様子などが懐かしく思い出されます。インターネットのない時代に書物を調べたり、知人への問合せで、よくここまでの記事を書かれたと敬服しています。
1.記事掲載への経緯
田中野田電子町内会運営委員会では、新HP移行(令和4年5月)に際し「わが郷土を語る」をメニュー欄「田中野田の昔」に追加することを決めました。
見やすくなった画面で広く皆さまにお読みいただけることを願って掲載作業を行い、令和5年、新年スタートの月に公開いたしました。
中尾佐之吉さんは「わが郷土を語る」として、町内会発行のふれあい新聞第60号(平成13年10月号)まで連載しておられました。町内の方々の「貴重な記録を残したい」という思いにより、平成20年(2008年)に冊子まとめ発刊され、旧ホームページにも掲載されています。
2.記事内容について
当時掲載された内容の一部には、今の時代にそぐわない表現もありますが、そのままとしています。
内容を変えないで、部分的に接続詞等を校正し直しています。
イメージしやすいイラスト・画像などを追加しました。
更新履歴 等
■令和5年(2023年)1月:新HPにリニューアル掲載。
■平成21年(2009年)8月1日:田中野田町内会ホームページ登載完了記念、夏祭りの電子町内会コーナーで10冊限定プレゼントを実施
■平成20年(2008年)7月26日:この冊子作成に当たり、田中野田電子町内会運営委員のご協力の下に正確な復刻に努めましたが、素人の手打ち・印刷のため、誤字・脱字印刷等、お見苦しい点はお許しを願います。9組 田中建治