本文へ

除疫神「牛頭天王(ごずてんのう)」によせて

〔その41〕

平成13年10月号 第60号 中尾佐之吉

1.郷土の守護神のこと
 私たちの郷土、もとの「御津郡今村」は“今村百軒まる法華”のことばがあるように、昔からの住民はほとんど日蓮宗信者であった。そして各集落にはその一画(主に墓地の近く)に、この地方への布教を最初に努められた「大覚大僧正」の石塔「南無妙法蓮華経」の題目石と地水神などを併設して、地区の守護神(お祖師さま)としてお祀りしている(写真は岡山市平田の“お祖師さま”)。

 このお祖師さまなどのほかに「牛頭天王」をお祀りしている地区がある。この牛頭天王とはどういうお方か、どのような趣旨でお祀りしているのかを調べ書かせてもらうことにした。この牛頭天王を祀っているのは、この地区周辺では私の知る限り旧今村では平田、下中野野崎、下中野木村と旧白石村の今保である。平田の牛頭天王の建立は慶応2年(1866年)のようだが、他の地区についてはその建立時期は不明である。

 2. 「牛頭天王」とはどういうお方か
 広辞苑によると「もとインドの祇園精舎の守護神。除疫神として京都祇園社(八坂神社)などに祭る」と書かれている。つまり悪い“はやり病”(伝染病)が起こらないよう、そして、一日も早く収まることをお願いできる神様として祀られたことが知られる。 

京都・八坂神社に安置の牛頭天王像
SNS 文字 ページトップ