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刃物研ぎ 喜びの声が活力に

2022/05/13

カテゴリー: 趣味・特技

刃物研ぎで評判。町内会にも貢献されている    杉山三郎さん

家業手伝いで技術を習得

 「包丁が良く切れるわ!料理が楽しい!」このひと言のために研ぎをしているようなものです。
 私の生まれは津山市で刃物鍛冶の三男坊。学校から帰れば直ぐ着替えて仕事の手伝い、研ぎをさせられていました。ふと思い出しました。祖母、母が大切に使っていた裁ちばさみを自分で研いだところ切れなくなってしまいました。正しく研げていると濡らしたティッシュが気持ちよく切れるのに、裏の研ぎを誤りはさみが死んだのです。このような経験をしながら一つ一つを丁寧に何回か研ぐと刃物が生きてくるのがわかるようになりました。

公民館調理室の包丁研ぎが転機に

 出刃と刺身包丁、表側は上手に研げているが裏が悪い。鋼(はがね)は裏側だ。表の研ぎ曲がりを仕上げ、砥石でスーッと引くだけ、それでしっかり研げている。ただ、砥石の中央が凹んでいるため仕方なく少し起こしてスーッと引く。数種類の砥石を使い分け、経験に裏打ちされた微調整で研ぎが完了すると「どうだ!」と密かに腕自慢。
 これが現在に活きていて、一人の生活となってからも近所の方の刃物を細々と研いでいました。転機が訪れたのは7~8年前、御南西公民館調理室に包丁があると聞き訪問したところ、大中小18丁、出刃大小、料理ばさみに至るまで錆びているわ、刃こぼれしているわ、これでは切りにくくて大変だろうと家で研磨することを申し出ました。当時の館長は、盗むのではないかと用心し厳しくチェックされましたが、善意を理解してもらえ家に持ち帰ってすべて研磨しました。

評判広まり「ちまた」へ投稿する人も

 調理室の包丁を研いだ後、様子を聞いた女性陣が次々と包丁やハサミなどを持って来られ評判が広がりました。剪定ばさみは裏に汚れカスが付いているとダメなのできれいに取り除いて研ぎ上げる、裏は引くだけ。刃物によって対応が違うので真剣に研いでいます。
 さらに腕を活かそうと知り合いに声を掛け、町内はもとより他の町内や公民館の講座で一緒にウォーキングしていた遠方の方など大勢に喜んでいただいています。山陽新聞「ちまた」欄へ私のことを投稿してくださった方もおられ、とても嬉しく思いました。
 コロナ禍で中止となっていた公民館講座「男の料理教室」も再開され、私も受講しているので前日に調理室で研ぎを行いました。包丁を使う方は切れ味に注意し、かつ料理を楽しみましょう。
 人が喜ぶということは自分の喜びでもあり、これからも体の動く限りは一所懸命務めさせていただこうと思っています。
              令和4年5月 杉山三郎(8組)

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