海吉出村町内会に伝わる吉備津岡辛木神社秋季祭礼関連の装備用品等

投稿日:2020年10月3日

 吉備津岡辛木神社の秋季祭礼は古来より10月4,5,6日(4日が氏参りといって氏子がお宮にお参りする日で、5日と6日がお祭り)と決まっていましたが、子どもたちの夜のだんじり巡行を考慮し、近年はこの3日間は学校がお休みの「10月最初の金、土、日曜日」に設定されています。

今年は新型コロナウイルス感染症の関係で、先の戦時中でも中止しなかっただんじり巡行も取りやめになり、せめてお祭りの風物にでも触れていただこうと関連の写真をご紹介いたします。

 

1.

参道入り口の注連縄とのぼり

注連縄(しめなわ)及び幟旗(のぼりばた)並びに御神灯(ごしんとう)

倉安川に架かる丸端橋北の神社参道入り口に掲出し、その基部の御神燈には終夜灯りがともされます。
いずれも左右一対となっていて、幟旗については今年度更新しました。

御神灯の提灯は平成16年に新調したものですが、50年を経て傷みが目に付きます。
村人たちは、氏参りの日には挙ってこの下を通り、お宮へお参りしたものです。

 

2. 額(がく)及び額櫓(がくやぐら)

提灯に灯をともし、夜道を照らすための木造の構造物です。柱に小屋根が付いていて提灯を吊るすだけのもの、あるいは数十センチ規模の木枠に子どもの習字などの作品を貼り、中にろうそくを灯して取り付けるという機能本位の額から、桟敷や大屋根付きで大きな歌舞伎好みの大和絵の額を掲示するという立派なものまであり、わが出村に伝わるのはまさにその豪華版の一つです。

額に書かれた絵(92 × 147cm)

この額は、おそらくは明治時代の作と思われますが、日本三大仇討ちの一つに数えられる「蘇我兄弟と工藤祐経」や、蘇我十郎の愛人「大磯の虎」、それに人気歌舞伎の登場人物がみごとな彩色筆致で描かれていて、町内会としても大切に伝えたい歴史文化遺産の一つです。

現在、その額櫓はお祭り時期には公会堂の前に建てられていますが、戦後しばらくまでは現在の樋の尻ごみステーションの西隅付近に建てられていました。

在りし日の額櫓の雄姿(平成27年)

照明に浮かぶ大和絵の額

額(新)点灯

時は流れ、櫓の部材は劣化し大屋根が強風で飛ばされる危険なしとせず、通行人車への安全も考慮して自慢の額櫓の大屋根の存続は断念し、平成29年限りで安全仕様の櫓に改修し、現在の姿になっています。

また、昭和20年代ごろまでは組み立て式の櫓(桟敷と屋根はないが、現存の櫓と基本的には同じ規模の組み立て式の木造構造物)がほかに2基あって、1基は丸端の注連縄のすぐ北の参道上に、もう1基は東中1組の現在の丹井さん宅(往時は湯浅文伍、通称文五郎さん宅)の前に建てられ、ここには太鼓(現在は盆踊りや運動会のときに使っている)も出してありました。

が、これら2基の櫓も、自動車社会の到来や街灯の整備で世情に馴染まなくなり、額櫓の設置場所も現在地(公会堂前)へ移動し、他の櫓2基も当時の村役さんが廃棄処分にしたようで、筆者が成人したころにはまったく目にしなくなりました。

 

3. 獅子頭

獅子頭(雌)(左右43×前後31cm)

昭和の中ごろまでは雌雄各1頭の獅子頭があったのですが、立派だった雄は盗まれたとかで、今ではこの雌だけが残っています。

頭内面の記録によれば、明治13年出村住人湯浅友太郎翁(湯浅文伍家の祖先)の作で、現在も綿布製の胴体が繋がっています。

このお獅子にかぶられる(噛まれる)と「デモノ(皮膚病)ができない」と言われ、お祭りには村の青年の1人が獅子頭をかぶり、もう1人が胴布に潜って足だけを出し、赤い獅子頭を上下左右に揺らしながら口をカタカタと開け閉めして勇猛に演じると、小さな子たちは泣きながら逃げ惑う光景は今は昔となりました。

昭和60年ごろ、小生素人ながら失われていた片耳を復元し、漆黒と金色部分を塗り直しましたが、近年誰かの発案で「金色の玉」を咥えさせているようですがこれ(球)は龍の発想で、獅子(虎)には似つかわしくないものだと思われます。

 

4. だんじり

明治12年、当時の「款待社」(出村にあった壮年層による村落振興の自主組織で、伝統文化活動や近隣部落との交誼がその活動内容だったと思われる)が調達した旨が台座裏面に墨書してあります。

総欅材の台座には桃太郎伝説が彫刻されていて、優に140年を経た逸材です。

現在の車輪はゴムがはまった鉄製ですが、筆者が子供連中のころは丸太を切った木製の車輪で、舗装されていない道を湊の峠の付近まで引き回したもので、現在の交通事情ではとても考えられないことです。

巡行に備えて飾り付けが進むだんじり

だんじりは、笹に付けた紅提灯にろうそくの火を灯し、ガタガタ道を大きな声「こちゃえこちゃえ♪」と歌いながら引き回すのですぐに灯が消えたり、紅ちょうちんが燃えたりしたもので、現今のバッテリー電源で光彩と音響を放つだんじり巡行からすれば、まさに今昔の感一入のものがあります。

 

5. お神輿(みこし)

巡行に華を添えるお神輿

平成20年、筆者が町内会長当時に、町内会総会で全会一致で可決~購入しました。(同時の代価119万円)

担ぐ時には専用の2本の棒もありますが、だんじり巡行に加わるときには写真のように4個のゴム車輪付きの専用の台車に載せて、子どもたちがロープで引いて歩きます。

LEDのミニ提灯などで飾り付け、輿体をライトアップすると夜目にも鮮やかな光彩が浮かびあがり、巡行の列に華やかさが増して、子どもたちの楽しい思いでづくりに一役かってくれているようです。

いずれにせよ、一日もはやくコロナ禍が終息し、老いも若きも心安んじて伝統文化に触れながら、共にふるさとづくり・思い出づくりができる日が来ることを祈りたいものです。

同時に、この種イベントの準備から後片付けに至るまで、運営と伝承に奮闘してくれる町内会青年部の精鋭諸君に、心から敬意と感謝の誠を捧げます。

(文・写真 : 小野田(84歳))

カテゴリー:ニューストピックス

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