海吉出村町内会歴史年表の刊行にあたって

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今から300年以上も昔、私たちの住む街は海の中でした。時は移ろい令和の世を迎えましたが、この間に幾多先人の尽力と功績があり、それは今日の私たちの生活のそこここに色濃く、あるいは密やかにその姿を伝えています。

しかしながら私たちは、干拓~入植から農村へ、そして現在の住宅地へと変貌を遂げる時代の流れのなかで、その過程を綴り、史実を書きとめた“記録”を持ちませんでした。その種の資料を後世へ伝えるという着想も文化もなかったようですし、いまだにそのことは変わっていないようです。

国や県や市にはそれぞれ担当の役所がありそれなりの記録もあるのですが、こと学区や町内会には最近になってホームページというツールにより結果的に「遺す」「伝える」という成果が生まれつつあるものの、やはり「口伝」による部分が大きく、「○○さんがお元気なうちに聞いておけばよかった」と悔やむ声はよく耳にするところですし、町内会の記録一つをとってみても、保存期間はせいぜい会計帳簿が5年間残っているぐらいで、町内でどんな大きな事業や機構改革があったか、どんな建設や装備の充実がなされたのかなどのことは、「さて、あれはいつのことだったか」と思ってみても当事者はすでに亡く、参考にする記録も資料もないのが実態だと思います。

令和2年(2020年)は、世界中が「新型コロナウイルス感染症」禍に苛まれ、わが国も開催が予定されていたオリンピック・パラリンピックが1年延期に、また、身近では町内会のイベント(盆踊り、運動会、だんじり巡行など)が軒並み中止になるなど、住民の身辺にもコロナ禍の影響が及んで参りました。

そんな中、せめて秋祭りなどの伝統文化行事は伝承したいものと、青年部諸君がその準備作業中に公会堂の天井裏から7枚の「掛け札」を発見し、これの考証によって明治・大正期の「出村」の歴史の一部分が解明されることになったのを好機に、海吉出村町内会歴史年表を作ることを発意しました。

この歴史年表は、小生自身30歳当時から通算27年にわたり町内会の主要役員を仰せつかった当時のメモや記憶に基づいて、もちろん「掛け札」の記載内容やその他の史実も取り入れながら、「町内会関連建造物の築造・改修・撤去」「地域信仰の興亡」「文化部の発展的解散と青年部の創設」「主要装備の購入・更新」「電子町内会の歩み」「納涼盆踊りの開始」「防犯灯のLED化」「防犯カメラの設置」等々の出来事を、一部の町内会長OBのご教示もいただきながら年次順に西暦と和歴併記で列記したつもりですが、なにぶんにも単独作業であり、誤りや漏れがありましたらどうぞご指摘いただきたいと思います。

また、当時在任の町内会長名も付記しておりますが、小生の町内会長・総務部長在任間の記事がやたら多く目に付くのは前述のように在任期間が長く、かつ、自身のメモや親しく手を染めた事業を対象・根拠とした所為であって、けっして他の会長や役員諸氏の功績の多少を評価するものではないことを確と申し添えます。

同時に、町内会本部役員の就任任期が2年間という近年の実態に鑑み、即ち過去に立脚した長期展望に基づく事業計画の策定がなされ難い側面を補完する意味からも、本歴史年表が活用されることを期待します。

コロナ禍にあっても、歴史の歯車は休みなく時を刻んでいます。そんな中にあって町内会の会員の皆様には着実に会務推進と町内発展のために尽力されていることに敬意を表しますと共に、どうかこの歴史年表の記事がこれ限りで

「以下余白」とならないよう、また、一日も早くコロナ禍が収束し、歴史年表に旧来にも増して平和と繁栄の足跡が刻まれ続けて行くことを心から祈念します。

 

令 和 3年(2021年)正月

 東組住人 小野田 利 正 謹白

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