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ニューストピックス(2013年8月10日)

#4 地域応援人づくり講座 〜富山学区の防災を考える〜 「避難所運営を体験してみよう」が行われました。

猛暑の8月10日午後、富山学区安全・安心ネットワーク協議会、富山学区連合町内会、富山公民館の共催で「避難所運営を体験してみよう」という講座が開かれました。

森田講師(左端)の話を聞く参加者たち 講座といっても、状況に応じて図上でてきぱきと対応行動をとるというシュミレーションです。

講師は、岡山県防災ボランティアの森田 靖氏で、参加したのは今までのこのシリーズ講座を受講した男女学区民を主力に、佐藤富山小学校長、藤井富山地域センター長をはじめ、各町内会、消防分団、防災協議会、愛育委員会、民生児童委員協議会、幼稚園、婦人会等の地域の役職者を含む学区民老若男女53名で、公民館の講座室に6つに分けられた島に9人程度がそれぞれ島を囲むように着席し、各テーブルには近在の公民館から応援に駆け付けた地域担当職員が配置、まずは講師から「想定」が示されました。

【 想 定 】

  • 今日は2月9日(土)、午後4時から8時の時間帯。寒い。
  • 場所は、岡山市の中小学校(避難所)である。
  • 本日午前11:00ごろ、マグニチュード9.0の地震が発生した。
  • 震源地は、和歌山県南東40Km、深さ約15Kmで、岡山市の震度は6強。
  • 避難民が、中小学校にも続々とやってきており、上級の対策本部からも矢継ぎ早に情報や指示が入ってきている。
  • 受講生の皆さんは、中小学校区の避難所運営の当事者である。

テ−ブルには想定に見立てた富山小学校の校舎の写景図や体育館の平面図が置かれ、小学校長から使用可能な学校施設と教室が示されていよいよ訓練開始です。

状況付与は、地域担当職員が次々に読み上げるカードで示されます。

カードには、避難所にやってきた被災者の状況が例えば次のように書かれており、

63 福泊町内会○班
山田太郎(男51歳)
世帯主 家屋全壊
妻・父と同一行動

 

父は心臓病あり。
妻は頭部に負傷、血を流している。
64 福泊町内会○班
山田敬一(男78歳)
父 家屋全壊
息子夫婦と同一行動

 

心臓病あり。
息子嫁は頭部を負傷、血を流している。
65 福泊町内会○班
山田花子(女49歳)
妻 家屋全壊
夫・義父と同一行動

 

義父は心臓病あり。
自分は頭部を負傷し、出血が止まらない。

「この人は、この場所へ」・・・、協議しながら決めて行く 1枚ずつならまだしも数枚ずつ、時にはそれ以上のカードがまとめてドカッと、受講者が取り囲む机の上に置かれ、しかも、カードの内容は上級組織からの「支援物資の受け入れ準備指示」であったり、やれ「ペットを連れてきている」、やれ「高熱を出している」、やれ「車椅子でなければ動けない」、やれ「外国人の旅行者グループが避難してきた」、やれ「乳飲み子を抱えた母親だがおむつがない」、やれ「テントを持ってきたのでそこで寝たいが場所は?」、はたまた「路上生活者が食べ物を求めてやってきた」・・・等々、各種の状況下にある人々が避難所へ次々と押しかけてくる(カードの枚数にして250枚、訓練時間は1時間だから、1枚のカードにかけられるのはわずか14秒)という設定で、それらの避難民をどの部屋へ、あるいはどの場所に収容するかなど、あらゆる事態ないしは状況の変化に如何に迅速・的確に対応するかが試される訓練でした。

各グループの発表「こんな点に配慮しました」 最後の意見発表や成果所感では、参加者は異口同音に、「避難所運営には大勢の人材が必要だ」。そのためには、「平素から避難所ごとに役割を決めて=組織を確立しておき、いざというときには避難所運営本部に(誰でもいいから)馳せ参じて、積極的に運営に参加する着意、すなわち共助の心が肝要」との声が聞かれました。

講師からも、「インフルエンザ等の伝染性疾患の疑いのある避難民は、避難所には入れないこと」。また、「同じ地区の住民同士は、同じ場所に集めるのが原則(顔見知り同士での励まし合い等の心のケア上の配慮)」「要治療患者はいたずらに避難所に留め置くことなく、医療機関受診の措置を」等の講評があり、殺到する避難民の部屋割りなど目の前のカードを捌くことばかりに一所懸命だったみずからを反省させられました。

これが「想定」で、しかも「カード」での状況付与だったからよかったようなものの、実際に避難民が殺到したときに避難所を運営するのは他ならぬ地域住民であることを想うにつけ、酷暑の中での訓練ながら背筋に冷たいものを感じたことでした。

(文:小野田、写真:小野田・新田)

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