古来、暮らしのあるところに「祭り」があり、祭りのあるところに「神」がありました。
祭りは、神と神を祀る者との生活の証でした。
神への奉仕と献納によって新たな生活が約束され、地域の結びつきを強める機能を持っていました。
その祭りの舞台裏を支えるのが「稲屋制度」と呼ばれる 祭りの運営システムです。
稲屋に選ばれた者は、祭りの影の主役として一切を取り仕切るが、1年間の精進が課せられます。
しかし、神に最も近い存在として、大変な名誉と誇りとされてきました。
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下牧地区でも、松尾神社の祭りとして「稲屋祭り」が続いています。
神前で稲屋に指名され、受けた者(稲人)は翌年の祭りの日まで、1年間 神社を守る者として、毎月15日 境内を清掃・供花し、気持ちよく参詣を迎えます。
1月1日、3月15日、5月1日、7月15日、9月1日は「宮の当」といい、当番2名(稲人)と参拝し 清酒・赤飯をお供えし、参拝者に供応します。
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稲屋は、下牧在住の男子が 一生に一回(50歳前後に)行うことができます。
昔はこれを済ますことで、町内で一人前の大人として 認められました。
最近は、行事の簡素化が図られているが、一年一度の祭りの楽しみとして、また 親交を深める場として続けられています。
松尾神社は368年の歴史があります。古来より行われている稲屋制度も、少子化の影響で稲屋の該当者が少なくなっています。
今の形も10年先には変えざるをえなくなることが考えられます。
以下は、昨年(平成19年)の稲屋祭りの模様です。
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宵 祭(土:前日)
(18:00〜22:00)
松尾神社の弊殿で、本稲人と次稲人は、清酒・赤飯・里芋を神前に供え、肝煎(きもいり)とともに 参詣者に供応します。
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宮立ち(日:当日)
宮立ち当日の朝 本稲人宅へ、稲頭・稲人・肝煎・料理人が集合します。
宮司の修祓の後、酒・ママカリで供応します。
その後 松尾神社へ参宮します。道中は 稲屋旗を先頭に、太鼓を打ち鳴らしながら向かいます。
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祭 事
(11:00〜11:50)
弊殿において、禮酒(れいしゅ)、祝詞(のりと)の儀式を行います。
参加者は、宮司・本稲人・次稲人・稲頭(8人)・肝煎(3人)の14人です。
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子供神輿に修祓・玉串奉奠
(11:50〜12:30)
3町内の子供衆に、ミカンとお菓子を配ります。
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直 合(なおらい)
(12:30〜15:00)
拝殿で、本稲人に代わって、料理人が30〜50人の先輩稲人を 供応します。
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仕上げ
(18:00〜20:00)
稲屋宅では、稲屋を無事終了したお礼として、町内の人を招き 一家をあげて供応します。
稲人からお礼の言葉 → 長老の挨拶 → 乾杯 → 懇談と進みます。
最近では仕上げの二次会も行い、カラオケで盛り上がります。
参加者は 男女併せて50人前後になります。
なお、これらの稲屋祭りに係わる費用は、全て本稲人の負担で行われます。
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