防災講演会「西日本豪雨の教訓から学ぶ地域づくり」
投稿日:2022年10月3日
10月1日(土)の防災の日富山公民館において、岡山市市民協働企画総務課と富山公民館の共催で「西日本豪雨の教訓から学ぶ地域づくり」の講演会が行われました。講師は “川辺復興プロジェクトあるく” 代表の槇原聡美さん。槇原さんは、2018年7月の西日本豪雨で倉敷市真備町の自宅が2階床上10cmまで浸水して全壊の被害を受け自宅の再建をしながら、その厳しい体験から地域の支援活動を開始し “川辺復興プロジェクトあるく” を同年10月18日に結成しました。地域の防災を拡めることにも力を入れていて、講演は65回、NHK「明日をまもるナビ」「あさイチ」「NHKスペシャル」などテレビ、ラジオにも多数出演し、わかりやすい防災を発信しています。
真備町川辺地区の被害状況は次のとおり。
- およそ1700世帯のうち、99%以上の家屋が全半壊
- 真備町の死者数51人(関連死除く)、うち6人が川辺地区住民
- 川辺地区には洪水時避難できる公的避難所がない
- 災害後、ほぼすべての住民が川辺地区から離れることになりコミュニティが崩壊
今日の講演から印象に残った内容(一部)は次のとおり。
- 防災は最悪のケースを想定して考えることが重要。真備町の災害状況をよく知り地域の防災計画に生かすべき
- 川が決壊したという情報を「知らなかった」「ちゃんと伝わらなかった」という住民が多数。緊急ラジオ、エリアメールなどひとつでなく複数の情報源が必要。
- 夜寝てしまうと災害が差し迫っていても情報が途絶えてしまい逃げ遅れる
- 住民の平時のつながりがあれば「助け合える、教え合える」、命を守ることにつながる
- あの川が決壊するとどうなるかイメージできるか? ニュースに出てくる橋の名前、川の名前も普段から知っておくべき(ニュースを聞いてもどの橋か、どの川かわからない)
- 災害発生前、避難時、災害発生後の情報共有LINEグループ「川辺地区みんなの会」を活用。その後多くの高齢者がスマホ導入。2022/9で約600人参加している。「私はいますぐ避難します」の投稿はインパクトあり
- 黄色いタスキ大作戦を実施。全世帯に配布し訓練も2回実施。避難前に玄関にくくりつける、ついていない家は避難していない。わかりやすさ → 地域の一体感と声かけ増逃げ遅れ減 → 防災の会話増につながる
- まとめとして、正しい知識と情報、平時のつながり、最優先はいかにして命を守るか、今できる準備からすぐに始める、女性子どもならではの感性とコミニュケーション力は最強、西日本豪雨を経験した人の想いと願いを受け止めて!
槇原家の避難経験から反省点は次のようでした。
- 結果的には助かったが一歩間違えば命を落としていたかも・・・
- 普段から避難所を3か所は考えておくべき。総社市の実家に最初から避難すればよかった
- 持ち出し品、貴重品、思い出の品などの準備が不十分
- 避難するときに誰にも声をかけずに自分たちだけ助かった→家族の避難計画(マイタイムライン)を考え備えておけば、結果は大きく変わったはず
川辺復興プロジェクトあるく” のメンバーは被災した住民20名の男女で中学3年生~70歳台まで。下記3つの事業を行っています。
- 住民のつながりづくりや生きがいづくり事業
- 安心して暮らすことができる地域づくり事業
- 西日本豪雨災害を多くの人に伝える事業
今日の講演は、被災者ゆえの「切実で切迫した話」が多く、またポイントをついた内容でした。地域の防災活動に何が大切か、大変参考になる講演でした。
(文、写真:行枝)
カテゴリー:ニューストピックス