百間川河口水門
投稿日:2020年8月1日
百間川河口水門の役割
旭川の放水路として築造された百間川は江戸時代の沖新田開発当時から河口には潮止堤と複数の石の樋門がありました。
この河口水門は3つの役割を果たしています。
1 洪水対策
計画流量に対応した排水能力を確保し、洪水時にはゲートを全開して百間川の洪水を円滑に流下させる。
2 内水対策
児島湾との干満差を利用したゲート操作により、百間川に流入する小河川の内水をまとめて排水する。
3 高潮対策
高潮時の百間川への海水の流入を防ぎ塩害や浸水を防ぐ。
昭和水門
昭和36年に旭川から流入する計画流量が変更され、江戸時代から修繕と改築を重ね約270年の長きにわたり、その役割を果たしてきた旧水門群では流下能力が不足することになった。
そのため、昭和38年から5年の歳月をかけて新たな河口水門(昭和水門)が建設された。
全長138mに6基のゲートを有し、20m×6mの鋼製ローラーゲートを巻き上げる構造になっていて、基本的には従来型の引き上げ式げ式ゲートである。
江戸から明治期築造の排水樋門群で唐樋は世界遺産の候補にもなった
昭和43年に完成の昭和水門で1200㎥/sの排水能力を有する
平成14年頃の上空からみた河口周辺 ふれあいセンターや操明小学校が見える
平成水門
流域内の市街化の進展等による治水安全度の向上の必要性から百間川への分流量が増えることになった。このため昭和水門だけでは流下能力が不足するため、新たな水門を東側に増築することになった。それが平成27年に完成した平成水門である。
新水門の構造は最新技術のライジングセクターゲート(ゲートを回転して開閉する)を採用している。ゲート幅33.4m、重量約340トン、連続3門でライジングセクターゲートとしては日本一である。
水門の管理
おおむね毎日一回新旧の水門のどちらかを児島湾の干潮時に開けて排水する。開ける前に放送とサイレンで周辺に知らせている。水門の開閉等一切の操作は百間川出張所にある操作室からコンピューターで一元管理されている。
近年は異常気象による災害、とりわけ水害が全国いたる所で発生しています。百間川河口部に位置する操明学区にとって安全安心な暮らしのためにも百間川の治水対策はますます重要になってきます。
水門の稼働の様子
動画「百間川水門 開く」(約4分)
※ 上記をクリックすればYouTubeが開き、動画が視聴できます。
参考資料
国土交通省 岡山河川事務所発行 「百間川小史」「百間川河口水門増築事業」
文 責 萩原 正彦
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