樋の尻サイホンの改修工事
投稿日:2013年7月15日
平成24年度の土木水利関係工事の一つとして、長年要望していた樋の尻サイホンの改修工事が岡山市(中区維持管理課)~㈱新姫組岡山事業所により先ごろ終了し、6月28日には竣工検査が行われました。
【施工場所とサイホン】
施工場所は下図のとおりで、この十字路を東西に流れる用水の改修で、外からは見えない地下の工事でした。
この場所では、福吉用水と出村用水が立体交差しており、出村用水は福吉用水の下を潜って西へ延びています。
このことは、経過的に考察すると先ず福吉用水(倉安川から引いている)の敷設があり、後年出村用水(祇園用水を水源として百間川の中を流れる「四番用水」から分岐していた)を敷設する際、先客の福吉用水の下を(上は越えられない)通るようにしたものと思われ、同様の立体交差は今回の工事現場の約130メートル南方でも見ることができます。
このように、障害物等があるために水平・直線的な水路が構築できない場合に、障害物の手前でその下方に潜って管路を敷設し、障害物がなくなった地点で立ち上げて本流に注ぐ・・・その暗渠部分を「サイホン」と言っています。
(道路幅員を拡げる等の目的で、用水に蓋掛けした部分はサイホンとは言いません)
【改修工事が必要だった理由】
黄色で図示した場所の道路舗装面が何箇所も痘痕(あばた)状に陥没し、補修しても状態が改善せず、更に拡散傾向にあったのが改修工事要望をした理由です。
市に対するこの場所の改修工事の初回要望は、平成18年の春でした。
【道路陥没の原因と改修工事の概要】
モンマートみやけ前に南北に配置された道路側溝の吐口が、道路陥没の直下にありました。
右の写真の丸い塩ビ管がそうです。
その塩ビ管と擁壁の接合部分のモルタルが剥離し、管の周囲にできた隙間から土砂が流水に誘われ、あるいは地下水と共に流出していたのです。
あまつさえ管下方の擁壁のモルタルも剥落していました。
工事としては穴の部分をコンクリートモルタルで塞ぎ、付近の擁壁も塗り込め、加えて両岸にコンクリート根固めを構築しました。
写真(↓)には、補修した擁壁と根固めコンクリートが写っていますが、この後、この部分の川底一面にコンクリートが打たれました。
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【その他の補修工事】
この場所に敷設されているサイホンは、内径が90cmのコンクリート2次製品が3本繋げてあります。
サイホンは、経年による地殻変動等により接続部が最大で12cmばかり口を開けた(抜けかかった)状態になっていました。
この部分を特殊な充填材で補修し、被害の拡大防止措置をしました。
出村用水は、何ごともなかったかのように今日も楚々として流れています。
でも、その陰には目に見えぬ暗黒の地下での苦闘があり、土木水利関係者のたゆまぬ努力があることを忘れたくないものです。
(文:小野田T、写真:㈱新姫組岡山事業所・小野田Y)
カテゴリー:出村スポット