お神輿(みこし)
どんな時代にあっても、子どもたちはお祭り好きです。村の子供連中の総数が20人規模の往時はさておき、現在では祭り囃子で集まった子どもたちはだんじりを牽きたくても「新1,2年生だけ」という具合に学年別に持ち場が決められていて、なかなか主役の出しものには手も触れられない大勢の子どもたちをみて、早逝した早川青年部員が言った言葉を思い出します。
「われわれのようにこの地に越して来た者にはそれぞれに故郷があり、子ども時代の思い出もあるが、現在の出村の子どもたちはここが故郷になるのです。子どもたちに、故郷のいい思い出を作らせてやりましょう!」
その言葉は、当時町内会長だった筆者の心にも痛く響きました。「よし、お神輿を買おう」
2年計画で資金を捻出し、購入の目途がついたところで町内会総会に提案して、満場一致で現在のお神輿を取得したのです。時に平成20年のことでした。
本来、お神輿は「担ぐ」ものでしょうが、重いものだから事故があってもいけないので台車付きで購入し、電飾に浮かび上がった雅な姿を牽く担当学年児(毎年、児童育成部が担当学年を指定しているようですが、例年6年生に牽かせているのは“小学生最後の思い出づくり”としてよいアイディアだと思う)の誇らしげな顔を見るにつけ、「子どもたちのために買ってやって本当によかった」「新たな文化財として、大切に次の世代へ伝えてほしい」と、心からそう思います。
(文責:小野田)