百間川「大仙(たいさん)」樋門
投稿日:2004年6月17日
大仙樋門は、オムロン岡山(株)正門の東約60メートルの百間川堤防の東斜面にある。
「大仙」を「ダイセン」と読む人が多いが、この地の小字名からすると「タイサン」が正しい。
さて、この樋門の役割は重要だ。外水=百間川と、内水=百間川右岸用水(町内会地内に縦横に配置された用水路)を結ぶ、町内でただ一つの樋門で、一口でいうと「町内に溜まったいらない水の捨て口」だ。
なるほど、平素は概して外水の水位の方が低く、台風や夕立で大雨が降っても、用水に溜まる水は機嫌よくこの樋門から百間川へと放流されて(捨てられて)行くことになる。
ところが・・・だ。長雨が降ると用水も溢れるけれど、それ以上に百間川の水嵩も増えることになり、内水の放流も思うに任せなくなってしまう。
ご承知のとおり、百間川は洪水から岡山市内を守るために作られた人工の放水路だが、砂川や庄内川も注ぎ込んでいて、これに旭川ダムの放流が加わった日には百間川流域は一気に非常事態となり、運わるく児島湾の満潮と重なったりすると河口堰(国土交通省管理)を開けることもならず、逆に増水した百間川の濁流が大挙町内側へ流れ込んでくるのだ。
そうはならじと、この大仙樋門には二人の樋門操作員が指名されている。現在は小野田町内会長と北根副会長がその大役に任じているが、百間川が増水傾向になると深夜払暁をいとわず樋門を閉鎖するため現地に駆けつけ、「土手で夜を明かしたこともたびたび・・・」ということに相成る。
今年も台風シーズン到来だが、横なぐりの雨の中、町内を水害から守るため夜を徹して樋門を死守する初老の男たちがいることを、窓打つ雨風の音のなかに思い出していただければ幸甚である。
(写真、文:小野田)
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