掛け雛

投稿日:2005年3月3日

お雛(ひな)様の季節になりました。

昨今のお雛様は段飾りが一般的で、昭和初期には最上段にはお内裏様がおさまる御殿のある豪華版もありました。

写真に紹介するのは「掛け雛」で、床の間に軸を垂らし、雛人形をそれぞれの場所に引っ掛けて飾るというたいへん珍しいものです。

軸の大きさは縦2メートル、横1.3メートルで、お雛人形は最上段に内裏さまとお姫さま、次の段に三人官女、さらに右(左)大臣、一番下には三人士丁(じちょう)という設(しつら)えになっています。

人形は真綿でふっくらと厚みをもたせた正絹のお衣装をまとい、女性たちのお顔は瓜実顔(うりざねがお)のベッピンさんですが、五人囃子はいませんからオールキャストではありません。

この掛け雛は、当家の老母(明治44年生まれ、94歳)が20歳のころ嫁入り道具の一つとして持ってきたそうで、優に90年以上前の作品であることは間違いないでしょう。

 (写真・文:小野田)

カテゴリー:出村スポット

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