獅子頭(ししがしら)

獅子舞いに出てくる張り子細工(和紙を水で溶かし、糊を混ぜて成型して乾燥~彩色した被りもの)の民芸品で、百獣の王ライオンの頭部をイメージしたもの。わが出村には、古くから雌雄一対の獅子頭がありました。

現在伝わっているのは雌(メス)の獅子頭で、雄は筆者が転勤生活でこの地にいなかった昭和30年代のころ(?)に行方不明になったようですが、雄獅子の方は筆者の記憶ではなぜか頭に股状になった一対の角(ツノ)があり、如何にも勇猛な面構えでした。

① 口の開閉と耳を回転させることができる。
② お獅子に頭を咬んでもらう出村の元気っ子

そして、雌雄とも獅子頭には尻尾(しっぽ)の付いた紺色木綿の胴体部分が繋がっていて、雄の胴体布には縦縞の模様が入っていたような記憶があります。

なぜか、この「獅子に咬んでもらうとデモノ(おでき=皮膚病)ができん」との言い伝えがあったそうです。

お祭りの日には、村の青年団の一人がこの獅子頭をかぶり、もう一人が後ろ足役になってこれまた上半身を胴体布で覆い、頭役が両手で操る口の開閉と獅子頭の上下左右への揺動と威嚇の迫真演技に幼児たちは本気で怖がったもので、背負いこでおんぶしたわが孫の頭を咬んでもらおうと祭り囃子に誘われて表に出てきた婆ちゃんも、背中で身を揉んで泣き叫んで怖がる坊やに手をやいた…、そんな風景も今は懐かしい思い出です。

写真の獅子頭の内面には、湯浅友太郎(当所、故人)明治13年の作との墨書があります。右の耳が壊れていたのを、昭和40年代の終り頃に筆者が修復しました。

最近は誰の発想か金の玉を咬ませていますが、龍じゃあるまいし、このお獅子には似つかわしくない取り合わせなのですが、それなりにサマになっているから不思議です。

(文責:小野田)

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