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ニューストピックス(2016年1月23日)
非常時に役立つ食の備え!の講座開催 〜第3回〜
1月23日(土)午前10時から富山公民館1階 料理講座室において、岡山市(市民協働企画総務課)・富山公民館の主催、富山学区栄養改善協議会の共催による
非常時に役立つ食の備え!
ライフラインが止まってもできる簡単料理法
の講座が行なわれました。講師は、岡山県栄養士会 松下暢子さんによるもので、受講者16名が参加しました。
この講座は、昨年 全国各地で発生した火山噴火やゲリラ豪雨による土石流、河川の氾濫による大規模災害の発生、近い将来発生が予想される東海・東南海地震に備えるため、地域の安全・安心を担う人材の育成が叫ばれるなか富山公民館(中山地域担当職員)が提唱した取り組みで、今回が第3回目の講座です。
初めに富山公民館の片岡館長が、「災害はいつ起こるかわかりません。災害に日頃から備えることは重要です。非常時に役立つ食事の料理方法をしっかり学んで帰って下さい」と挨拶しました。
次に、松下講師がスライドを使って
東日本大震災の際の食
震災時の料理
避難生活の食事で実際に知っておきたいこと
実際の対策(離乳食・塩分調整・エネルギーの調整)など
乳幼児・高齢者(ベビーフードから高齢者用の食事へ・塩分調節)
エネルギーの調節(糖尿病・妊産婦の方)
などについて説明しました。
その中で、震災等で被災された方から学んだこととして、
震災後、自動販売機の「コーンポタジュやしるこの飲み物」などは売り切れになったが、売れ残ったものは「コーヒーや低カロリーの飲み物」ばかりであった。生きるためには何が必要か皆よく理解している。このことは、限られた食べ物の中から、生きるために食べられるものをアレンジして食べなくてはいけない。食事は生きるために最も重要なものです。
などと話しました。
講師の説明が終わったあと、参加者は3〜5名のグループになり調理テーブルごとに分かれました。
ナイロン袋に切干大根と水を入れ浸す |
実習が始まる前にナイロン袋に「切干大根」や「ひじき」を入れ、少量の水を注ぎ込みふやかしました。
缶詰などの食材 |
調理実習の時間になりましたが、いつもの料理教室とは少し様子が違いました。いつもは慣れた手つきで包丁を握り大根や人参を刻む姿が調理室のあちらこちらで見られますが、今回ばかりは何時もの姿は見られませんでした。それもそのはず、今回用意された食材は、
市販の包装おにぎり
冷蔵庫や常温で保管している野菜(たまねぎ、人参、ピーマン)乾物
家庭で常備してある調味料類(さとう、塩、しょうゆ、みりん、ソース、ケチャップ、油など)
コーン缶詰、魚味付け缶(まぐろ)、スパゲッティ、ソーセージ、じゃがりこ、粉末ソース
などでした。
最初は面食らっていた参加者も食材を見ながら次々に食材に包丁を入れていきました。まな板の上でキャベツや人参、ピーマンが姿を変えていきました。
市販の包装おにぎりは包装をとってほぐしたものを鍋に入れて「雑炊」に、また、フライパンにおにぎりを入れ、たまねぎや人参と一緒に炒め「チャーハン」に仕上げていきました。時間の経過とともにベテランの知恵と工夫が徐々に発揮されてきました。
包装おにぎり | おにぎりを使った雑炊 |
スパゲッティ入り野菜炒めを作る |
また、フライパンにキャベツやたまねぎ、人参、ソーセージを入れて炒めスパゲッティや麺つゆ、しょうゆなどで味付けをした「和風スパゲッティ」を手際よく調理していきました。
この頃になるとフライパンで炒め物をする匂いが調理室の中に立ちこめ食欲をそそるようになりました。
じゃがりこにお湯を入れる |
いつもの料理教室では見ることができないもがありました。それは、カップ入の「じゃがりこ」です。カップに半分程度お湯を入れふやかしてかき混ぜると「サラダ味のポテト」が出来上がりました。また、乾パンを砕いたものを粉末スープと一緒に容器に入れお湯を注ぐと出来上がる「乾パンスープ」なども作りました。
皿にサランラップを敷きその上に料理を盛り付け |
昼前には、各グループの調理も終わりました。それぞれのグループで皿に盛り付けをしましたが、皿に直接盛り付けをするのではなく、皿にサランラップを敷いてその上に調理した料理を並べていきました。
あらかじめナイロン袋に入れ和えた「切干大根とコーン缶詰・ドレッシング」「ひじきと魚味付け缶(まぐろ)・蒸し大豆」なども盛り付けました。
片栗・スキムミルク・砂糖などを 使って作ったデザート |
調理テーブルの上には料理がところ狭しと並べられました。どのグループの料理も限られた食材を使って調理した料理とは思えないほどの出来栄えでした。
いよいよ待ちに待った昼食の時間となりました。グループごとで料理の出来栄えや味、工夫したアイデアなどを話しながら楽しく食事をしました。
皆さんと一緒に食事を頂きましたが、限られた食材を使って調理した料理とは思えませんでした。味付け、風味など非常時の食事とは思えない美味しさでした。
食事が終わり、それぞれのグループから
包装おにぎりを、ミートソースでオムライス風に仕上げました。
広島菜がおにぎりに使われており、雑炊が簡単に出来ました。
サケやカレールー、キャベツ、人参を使っておにぎりを仕上げました。
などの発表がありました。
参加者から、
「限られた食材を使って調理をしましたが、こんなに美味しく食べることが出来るとは思いもしませんでした」
「調理方法を工夫することで美味しく食べることができることを改めて知ることができました」
などの声が聞かれました。また、
「町内会の集まりがあるので、今日の『非常時に役立つ食の備え』についてすすめたいと思います」
と笑顔で話しました。
参加者ひとり一人が災害時の食の重要性を改めて感じながらアンケートに答えて午後1時過ぎに会場を後にしました。
富山地域でいつ災害が発生するかわかりません。日頃から災害に備えることはもちろんですが、命をつなぐための食事はどんなに大切なものであるか再確認することが出来ました。
不幸にして災害が発生した場合、限られた物をいかに美味しく食べられるようにアレンジすることができるか。そして生き抜くことが出来るかを学んだ有意義な講座でした。
(文・写真:長畑)