中牧地区の西方にある約150mの山に登ると、旭川が見下ろせる頂上に 淀子神社の社殿が 堂々たる構えで建っています。(現在は、檜・杉等の樹木が茂り、旭川の展望はできません)
この地域では、明治31年に中国鉄道(現在のJR津山線)が開通するまでは、高瀬船20余隻を持ち、美作の勝山から岡山までの旭川の水運に 一勢力をなしたところです。
高瀬の船問屋もあり、江戸時代から交通の要地でした。
淀子神社は、旧中牧村(現在の中牧地区・郷地区・湯須地区・十谷地区・堀越地区・大月地区)の氏神様で、天明7年(1789)の建立といわれています。
神社の祭神は、淀姫命(よどひめのみこと【與止日女命:神功皇后の御妹】)です。
現在 佐賀県に鎮座している與止日女神社(よどひめじんじゃ)の御神徳は、水の神・川の神として信仰されており、農業・交通安全の守護神として崇拝されています。
祭神を同じくする 当地区の淀子神社も 水の神・川の神として 地域の米の豊作と 高瀬船の安全のために建立されたものと思います。
旭川を上り下りする高瀬舟が 当地区を通過する際には、船頭・乗船客共々に 山の上にある神社に 安全のお祈りをしたものと思われます。
しかし、明治に入ってからは 交通・運輸の主体が陸上に移り、高瀬船は しだいに衰えました。
それに伴い 当神社も 水運の守護から交通安全の守護へと替わって行くのも 時代の流れと思われます。
淀子神社の社殿は 南に面しております。
本殿は、入母屋造本瓦葺き 妻入の三間社で、三方に椽(たるき)を廻し、前面の椽巾を広くして 吹放しの外陣風に作られているのが特徴です。
拝殿・釣殿の二棟は切妻造り瓦葺きで、天井は張っておりません。
かつては 割竹を使った小舞裏が下から見上げられておりましたが、近年の屋根瓦の改修時に 板製の小舞となりました。
竹は旭川流域の村々の特産で、割竹の小舞は この地域の神社建築の特徴です。
また随身門は本瓦葺きで、三間一戸の八脚門です。
なお 拝殿は間口七間で奥行き二間と横長で中央に通路をもっており 割拝殿(わりはいでん)と呼ばれています。
牧石、牧山地区の神社には、このような割拝殿が多く見られます。
毎年秋祭り(10月第4土曜日)には、氏子たちがこの割拝殿に集まり 祭典を行ったあと、頭屋(とうや)と呼ばれる当番が持参した酒肴で 年に一度の饗宴をする場所として使われています。
この昔ながらの純朴な行事は 今も続いております。 |
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随 身 門
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備 前 焼 の 狛 犬 |
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中央に通路をもつ 割拝殿 (後方に本殿)
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りっぱな 本殿です
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