【情報提供】南海トラフ地震関連解説情報が公表されました。(2024年12月6日17:00 気象庁)
2024/12/07
気象庁は、12月6日に開催の南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会等が評価した、南海トラフ周辺の地殻活動の調査結果を公表しました。概要は以下のとおりです。
評価結果:現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時(注)と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。
(注)南海トラフ沿いの大規模地震(M8からM9クラス)は、「平常時」においても今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから切迫性の高い状態です。
1 地震の観測状況
○ 顕著な地震活動に関係する現象
南海トラフ周辺では、特に目立った地震活動はなかった。
○ ゆっくりすべりに関する現象
(1)四国西部:10月31日から11月6日
(2)四国西部:11月15日から11月19日
2 地殻変動の観測状況
○ 顕著な地震活動に関係する現象
GNSS観測によると、8月8日の日向灘の地震の発生後、宮崎県南部を中心にゆっくりとした東向きの変動が観測されている。
○ ゆっくりすべりに関係する現象
上記(1)(2)の深部低周波地震(微動)とほぼ同期して、周辺に設置している複数のひずみ計でわずかな地殻変動を観測している。周辺の傾斜データでも、わずかな変化が見られている。
GNSS観測によると、2019年春頃からの四国中部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、2024年秋ごろから鈍化している。また、2022年初頭から、静岡県西部から愛知県東部にかけて、それまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されている。なお、あらあに紀伊半島南部において、2020年初頭からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されていることがわかったが、2024年秋頃から停滞している。
○ 長期的な地殻変動
GNSS観測等によると、御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺では長期的な沈降傾向が継続している。
3 地殻活動の評価
○ 顕著な地震活動に関係する現象
GNSS観測による8月8日に発生した日向灘の地震発生後のゆっくりとした変動は、この地震に伴う余震変動と考えられる。余震変動自体は、M7クラス以上の地震が発生すると観測されるもので、今回の余効変動は、そのような地震後に観測される通常の余効変動の範囲内と考えられる。
○ ゆっくりすべりに関係する現象
上記(1)(2)の深部低周波地震(微動)と地殻変動は、想定震源域のプレート境界深部において発生した短期的ゆっくりすべりに起因すると推定している。
2019年春頃からの四国中部の地殻変動、2022年初頭からの静岡県西部から愛知県東部にかけの地殻変動及び2020年初頭からの紀伊半島南部の地殻変動は、それぞれ四国中部周辺、渥美半島周辺及び紀伊半島南部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因すると推定している。
このうち、四国中部周辺の長期的ゆっくりすべリは、2024年秋頃から鈍化している。また、紀伊半島南部周辺の長期的ゆっくりすべりは、2024年秋頃から停滞している。
以上の微動及び短期的、長期的なゆっくりすべりは、従来から繰り返し観測された現象。紀伊半島周辺の長期的ゆっくりすべりは、今回、初めて検知されたものだが、南海トラフ周辺の他の場所で観測される長期的ゆっくりすべりと同様の現象と考えられる。
○ 長期的な地殻変動
御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺で見られる長期的な沈降傾向はフィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はない。
詳細情報:第87回南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会、第465回地震防災対策強化地域判定会で、南海トラフ周辺の地殻活動を評価しました。(気象庁ホームページ)