季節の花9(冬2-シクラメン)

投稿日:2020年12月2日

冬の花の2番目はシクラメンです。この花もスコレーの展示棚にたくさん並べられていました。現在は鉢植えの花の一番人気のようでジュンテンドーの店頭にもたくさん並んでいました。シクラメンと言うと「真綿色したシクラメンほど清しいものはない」と布施明が歌ったシクラメンのかほりを思い出しますが、この歌から芳香性のシクラメンが生まれたとの話にはびっくりしました。写真はオーキッドフェアで撮影しました。

シクラメン

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

シクラメンは元々地中海沿岸、ギリシャからチュニジアにかけて原種が自生している。学名は受粉後に花茎が螺旋状に変化する性質からギリシア語のキクロス(kiklos:螺旋・円)から命名された。ただしC. persicumやC. somalense は、花茎は巻かずに垂れる。シクラメンは双子葉植物として分類されているが、実際に土から芽を出す時は一枚しか出てこない。また、子葉から数えて7、8枚目の葉が出た頃から花芽の形成が始まる。ハート形をした柄の長い葉には白斑があり、花茎を伸ばし花をつける。また、葉芽と花芽は一対一で発生して行く。日本においては秋から春にかけて花が咲く。一重や八重、花の色は白や赤・黄・桃色などと多様性に富んでいる。花を放って置くとすぐ結実するが、結実させたままにすると株が弱り、最悪枯れてしまうので、採種が目的でも数輪残すだけ、採種が目的でなければ全て取り除くのが好ましい。球根は茎が肥大したもので、分球しない。この種の球根は表皮がコルク状で、乾燥に よく耐えることが出来る。球根が地上に露出した状態を好む。

品種

ガーデンシクラメン

従来、鉢で育てる室内観賞用のシクラメンが一般的であったが、原種との交雑により、1996年(平成8年)に埼玉県児玉郡児玉町(現本庄市)の田島嶽が屋外に植栽可能な耐寒性のあるミニシクラメンの系統を選抜し、「ガーデンシクラメン」として売り出したのがこの種類のシクラメンの始まりである(ただし最初にガーデンシクラメンとして選ばれたのは、古くからミニシクラメンとして流通していた「F1ミニメイト」という品種)。この「ガーデンシクラメン」はガーデニングブームの波に乗り流行し、全国で生産が始まり、瞬く間に普及した]。

芳香性シクラメン

通常、栽培種のシクラメンは全く香りがしないか、香りが薄いのが一般的である。前述のとおり栽培種のシクラメンはドイツにおいてC.persicumという種から花が大きくて綺麗なものを長年に渡り選抜していった結果、香りは注目されずに徐々に失われていったためである。これは、この種のシクラメンの香気は埃・乾燥した木材様のセスキテルペンという成分が主体であり、一般に臭いと感じる事に起因する。なお、日本では布施明の歌『シクラメンのかほり』(小椋佳作詞・作曲)が1975年(昭和50年)にヒットしたことによってシクラメンの香気に対する期待感や要望が表れるようになった。このため、一般の栽培種のシクラメン生産者や育種家らの手によって香りのシクラメンの育成がされてきた。これは、C. persicum種の中に僅かに含まれる香気であるシトロネロールというバラ様の香気成分が突然変異などにより比較的に多く含まれるものを選抜したものであるが、親の遺伝によって香りが良くないとされるセスキテルペンの香気成分も無くならない事が多いため、基本的な香り成分の種類には差が少なく芳香なシクラメンの作成は困難であった。このようななか、1996年(平成8年)に埼玉県農林総合研究センター園芸支所(現園芸研究所)がバイオテクノロジーを用いて、栽培種であるC.persicum種と芳香を有する野生種であるC.purpurascens種との種間交雑を行い、種子で増殖可能な交雑種の2系統の育成に世界で初めて成功した。なお、ペルシカム種を用いた種間交雑種はこれが初めてであるが、異種間交配種は自然交雑種も含めていくつか存在する。C.purpurascensの原種は、花は小さく質素であるが、バラ様の香気成分であるシトロネロールやシナミルアルコールというヒアシンス様の香気成分、スズラン様の香気成分を発する種である。この種間交雑により、花や株は一般の園芸種のように大きく、香りはこの野生種の芳香が大きな花から多く発せられる、いわゆる「芳香シクラメン」が誕生することとなり、従来の園芸種とは全く違うバラとヒアシンスを合わせたような香気を持つ栽培用シクラメンが一般に流通するに至った。

埼玉県により、この芳香シクラメンについて花色の違う3品種の育成を行い、「孤高の香り」(紫) 「麗しの香り」(ピンク)、「香りの舞い」(濃紫)の第一世代3品種を種苗登録するとともに、その後、これら第一世代の品種を組織培養し、イオンビーム照射でDNAに変異を起こさせることで、親品種と花色の異なる「天女の舞」(サーモンピンク・麗しの香りの変異)、「みやびの舞」(赤紫・香りの舞いの変異)、 「絹の舞」(白・孤高の香りの変異)が生み出された。このことにより、これまで花の“色”と“形”しか品種の違いがなかったシクラメンに“香り”という新たなアイテムが加えられ、消費者の選択肢が広がった。

カテゴリー:ふるさとの花や生き物 里山保全会

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