藤袴とアサギマダラ

投稿日:2019年10月27日

珍しい蝶が庭の藤袴で蜜を吸っていました。色々調べてみたら海を渡る珍しい蝶だったようです。

本の紹介文  評者: 横尾忠則 / 朝⽇新聞掲載:2013年11月17日
謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか? [著]栗田昌裕
世界でも類を見ない海を渡る蝶(ちょう)アサギマダラの謎に満ちた行動を記録したドキュメントである。著者は数学を愛する医師で、理性と科学知によってアサギマダラの生態と自らの行動を通し、読者を冒険小説の世界に誘ってくれる。
日本列島を二千キロも移動しながら、秋になると南下(春は北上)の旅を続けるアサギマダラの翅(はね)にマーキング(標識)して放した数は十数万頭(凄〈すご〉い!)。福島県のデコ平から放蝶したアサギマダラは台風などの悪天候にもかかわらず、小笠原諸島父島、与那国島、さらに国境を越えて台湾まで移動する。
アサギマダラの性質と能力を知れば知るほど、その予想を超えた知力、体力、行動力に唖然(あぜん)としてしまう。それ以上に、福島県で著者がマーキングしたアサギマダラをとてつもない遠方で再捕獲するという奇跡的な邂逅(かいこう)にも驚く。
アサギマダラの寿命は羽化後4〜5カ月で、与えられたその生涯時間内で二千キロを移動するのだが、彼らがどこで死んだかは特定しにくいらしい。それにしてもアサギマダラの一生はただただ飛び続ける運命なのだろうか。海を渡った先に着地するのが目的というのではなく、想像を絶する距離を飛行する、その行為自体が目的なのかもしれない。このことは創造すること自体を目的とする芸術家に似ているといえないだろうか。
著者がアサギマダラに興味を抱くのは、彼らが「何を思っているのか」という「心の謎」の探究であるという。それにしても自らが放ったアサギマダラの捕獲のために空間的、時間的条件を如何(いか)に予測するのか、その直感と出会いの確率にも驚く。アサギマダラが人間の意識(心)に何かを伝達でもしているのだろうか。著者はアサギマダラとの遭遇という物質界での現象はすべて「数学現象としてとらえられ、数式で表現」できるという。芸術創造の謎も数式で表現できませんかね?
PHP研究所・1575円/くりた・まさひろ 51年生まれ。群馬パース大学教授(内科学)。

フジバカマ(藤袴、Eupatorium japonicum)とはキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。秋の七草の1つ。

カテゴリー:ふるさとの花や生き物 里山保全会

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