稲の大敵 ジャンボタニシ

前回のホームページ「田んぼの生き物」にでていたジャンボタニシ(正式名スクミリンゴガイ)は日本タニシとは全くの別物で、南米原産で養殖用として昭和56年に台湾から長崎と和歌山に入ってきたのが最初。昭和58年には35都道府県に500ヶ所の養殖場があったと言われています。しかし、食味が悪く採算が取れず廃棄され野生化しました。昭和59年には農水省が有害動物に指定し輸入も禁止されました。
昭和61年に千葉県の水田で初確認され、特に西日本に多く令和2年6月時点で31府県で生息が確認されているようです。
岡山県南でも今から30年位前から見かけるようになった。以前は用 水の擁壁に赤い卵塊を産み付け美観を損ねていたが最近は少し減って来たように思う。
日が暮れると水中から上がってきて苗や用水の壁に赤い卵塊を産み付け、約2週間で孵化し2か月で1~3cmとジャンボになる。
何でもよく食べるため柔らかい草や水稲の苗、魚なども食べる。早苗にとっては大敵であり、防除するために農家は色んな工夫を講じている。深水で活発に動き回る為に田植え直後は浅水にする、水の取り入れ口にネットをして川から入らないようにするなどの対策や、卵は水中では呼吸ができないので孵化させないように水中に落とすなどしているが、これといった決定打がない。
駆除する農薬(スクミノン等)もあるが結構高額で、一定の効果はあるもののこれだけで全滅させることは難しい。最終的には捕獲する事が第一なので、田植え直後から見つけると網や直接手で掴んでバケツに入れて廻っている。結構腰が痛く根気のいる作業である。放置していると直ぐ増殖し、しかも冬場には土中に入り込み越冬する。南米原産なので寒さには弱いが近年の暖冬で生き残り、田植えで水が入ると湧くように出てくる。この30年近くジャンボタニシ対策には苦労している。

ジャンボタニシの食害を受けた水稲。移植後3週間位までの柔らかく小さな苗を食べる。水の出入口や畔際付近に被害が集中する。

写真と文  萩原正彦

 

 

 

 

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