最 近 の ち ょ っ と 気 に な る * * *
         2005.10.01    
その9  ト ラ ン ス 脂 肪 酸

お宅の冷蔵庫に入っているのは、バター?それともマーガリン?

 8月中旬米国ニューヨーク市は、マーガリンなどの調理油の使用を自粛するように飲食店に呼びかけ始めました。マーガリンや植物油にふくまれる≪トランス脂肪酸≫が血液中の悪玉コレステロールを上昇させ善玉コレステロールをさげ、心臓病の原因になるという科学的知見に基づいてのことです。

 “Drさとうの健康コラム 7.28版”にも一部でてきましたが、ここでは雑談話を少し。トランス脂肪酸については、欧米で以前より問題視されており、最初にチェックを入れたのはドイツ、オランダではこれを含む食用油は販売禁止、フィンランドでは「トランス・ファット・フリー」の表示されたマーガリンが流通しているそうです。 米国でもH18.1.1から含有量の表示を義務付けました。 何もマーガリンだけではありません。ショートニングも植物油にさえも少量(精製する過程で熱が加わるため一部がトランス脂肪酸に変化)含まれています。 今の日本、これらを使用した食品というと クッキー、パン、ケーキ、コーヒーに入れるフレッシュ、アイスクリーム、フライドポテト、油で揚げたお菓子……など一日にいくらかは絶対に口にしているものばかりです。 戦後の日本の食生活を豊かに(私は知らないぞ!)してくれたはずの食品、感謝はしていますが…… 。

 もう少し説明しますと、トランス脂肪酸は主に液体の植物油などの不飽和脂肪酸を水素添加する(化学的にいうと、多重結合の水素付加反応)ことで人工的に飽和脂肪酸にして固形脂にする時にできるもので、天然にないトランス型の立体構造をしていること(天然ではシス型)。そのため体内に取り込まれた時にも代謝されにくいようです。 もちろん植物油を絞り精製する時にも 温度が上がりますのでトランス脂肪酸が0.4〜2.4%、反芻動物の脂肪中にも4%程度、マーガリンでは0.4〜40%、平均10%含まれると日本食品標準成分表にも掲載されているそうです。

 日本では ≪植物性の油は(マーガリン・ショートニングなども含む)は動物性の脂より体によくて健康的だ!≫ と信じている人がまだまだ多いと思います。確かにそうだったかもしれませんが、今新たな問題が発覚したわけです。 欧米でこれほど規制されているのに WHOでも摂取量の上限(油脂摂取量の1%未満)を定めているのに 日本では食品業界に任せっきりの野放し状態。 きっとまた後手後手まわしになるのでしょうか? 欧米よりも一日の摂取量が少ないから大丈夫だとか(メーカーの見解)、リノール酸を多く摂るのでリスクは少ないなどと言わず、毎日意識してなくてもあらゆる食品に含まれているわけですから、食生活が欧米化してきている今だからこそ、せめて自分で作る時にはより危険性の少ないものを摂ってほしいものです。 5年後・10年後のあなたの体のために! 未来ある子供たち・孫たちのためにも!

 もしかするとEPA・DHAなど体にいいと思って飲んでいる健康食品・サプリメント中の魚油、途中熱処理されているとトランス脂肪酸に変化しているかも? 体にいいんだか、悪いんだか……?!

参考 日本マーガリン工業会 http://www.j-margarine.com/newslist/news8.html

トランス脂肪酸 http://www.h4.dion.ne.jp/~jasmock/trans.html
http://www.nstimes.info/12-2002/special_report.htm