2006年9月
        原    自然情報  −1−

 今から72年前、昭和9年(1934年)9月21日のこと。超大型の室戸台風が、四国から中国、近畿地方を暴風圏に巻き込みながら縦断し、岡山県にも甚大な被害をもたらしました。岡山県では、死者145人、負傷者348人と記録されています。県北部での大雨に伴い、岡山市内でも21日の早朝から旭川の水位は徐々に上昇、ついに堤防を越えて濁流が市街地に流れ込んだそうです。
 原地区での様子は須々木英子さんが記憶されておりました。また、須々木英子さんはその大水害の復興堤防工事に関する写真を所蔵しておられましたので、現在の写真と比較しながら原の変遷をたどってみたいと思います。

写真上は、昭和11年2月頃撮影
旧内務省 旭川堤防工事の為の調査時の写真

写真下は、平成18年9月の写真

今から70年以上も前の写真から、現在の場所を推定して撮影しています。
すぐにわかるものから、どうしても位置がわからないものもあります。
山並みは70年程度では大きく変わらないでしょうから、山並みから位置を推測して
現在の写真を撮っているものもあります。

また、70年前は旭川堤防は驚くほど低く(ですから大水で堤防決壊になったとは思いますが)、また、原側の裾野の位置は、現在の県道岡山吉井線のそれよりも50m程度は旭川の方に寄っていたと思います。
ですので、昔と同じ位置からの撮影が物理的に不可能な所もありました。

まだ、まだ、謎が多いです。
みなさんの情報提供、写真提供お待ちしています。 
左の家は原源、右の家は原源の新屋です。
堤防は今から考えると驚くほど低く、新家から原源への道はそんなにきつい坂ではありません。
遠くに見えるのは三野公園でしょうか?
県道岡山吉井線の拡幅工事により、原源、原源の新家は移転し、新家跡には片山集会所が建てられています。
移転前は集会所の前の道は急な勾配の坂道でした。
旭川堤防より原源新家を望む
旧内務省の方々と地区の代表者で測量を行っている。

現在は県道岡山吉井線拡幅工事により平坦な道+階段で県道まで上がるようになっています。
原源の岡山側から三野公園方面を望む。
遠くに江川の家並みが見える。
人の身長から推測すると、旭川の堤防の高さは4m程度だったのでしょう。
県道拡張工事により、位置は変わりましたが、田んぼや用水路は同じような感じですね。
原源新家の岡山側から、片山を望む。

片山前の新田。
大変広い田んぼです。
このあたりは、水害で大きな被害にあったと思われますが、1年半程ですでに整備は完了されていて、稲も刈り取られた後のようです。
県道岡山吉井線から撮影。
田んぼの広さがずいぶん違います。
新田から片山、船山を望む。
左が片山、正面に金山?
右手手前に船山が見える。
山並みから推測して撮影しました。
跨線橋のたもとあたりからしかそれらしい所はありませんでした。
新田川
船山に向かってまっすぐ伸びている
今と位置はずいぶん違うようです。
今の新田川は津山線の線路の近くを流れており、70年の間にずいぶんと流れは変わってきています。
ここがどこかはっきりしません。
左の道は旭川の堤防?
遠くには原源、原源の新家?
遠くかすかに見えるのは三野公園?
それにしてもこんなに旭川堤防は低かったのでしょうか?
今では道筋が変わってしまい、江川までまっすぐに見渡せることはない。
跨線橋の上から撮影。
牟佐大原側から竜の口を望む
手前に見える石の橋脚は流失した大原橋のものか?
その手前の木製の橋は仮の橋であろうか?
遠くトロッコ列車が見える。
堤防工事のバラスを運んでいるのか?
手前の道は堤防工事でかさ上げをした後か。
この高さに合わせて現在の大原橋があると思われる。
現在の大原橋から竜の口を望む。
山並みは70年程度では変わらないですね。
ここがどこかわかりません。
トロッコ列車の線路を引いて、堤防工事用のバラスを積み込んでいるところと思われる。
旭川のバラスを積み込んでいると思いますが、
後ろの山並みと一致するところがみつかりません。
山並みから推測して撮影しました。
旭川の中原側堤防から、宗谷山を望む。
トロッコ列車
このころはもちろん電気、ディーゼル機関はないでしょうから、このバラス採掘装置も蒸気機関で動かしていたようです。
岡山県立図書館 デジタル岡山大百科
昭和九年 岡山風水害誌(岡山市)より
牧石村 原県道堤防の決壊
堤防が壊滅し、水田が磧(かわら)と化したと記述があります。
切れた堤防の間から見えているのは片山でしょうか?
高さを同じ位置からは撮れません。
現在の県道岡山吉井線から撮影。
岡山県立図書館 デジタル岡山大百科
昭和九年 岡山風水害誌(岡山市)より
牧石村 大原橋流失と人家流失の大惨事とあります。
左手前が大原橋の石の橋脚部分でしょうか?
大原橋東詰めより牟佐方面を望む。