菜園歳時記
6〜8月篇


 だれにでもできるミニ家庭菜園での健康野菜作り
 家庭菜園では八百屋さんの店先に並んでいるような見た目にきれいな野菜を作る必要はありません、農薬をなるべく使わないで、安全で新鮮な野菜を自分の手で作ることが楽しみです。
 このサイトの見どころ
 このサイトは、米倉で有機栽培無農薬野菜作りに取り組む和気悠紀子さんの「四季の菜園」をご紹介しながら、長年つちかって来た有機栽培による野菜作りの「こつ」を1年間シリーズでご紹介して行きます。ご期待下さい。



家 庭 菜 園 入 門

畑探し
 イ、家の周りの庭先空き地を利用する。
 ロ、自治体の貸し農園を借りる。
 ハ、農家の使ってない畑を借りる。
 ニ、容器栽培をする。
無農薬野菜を作る・こつ
 無農薬栽培をするには、まず病虫害が発生しにくい環境を作ること。
 イ、よい土で作ること。
 ロ、連作を避けること。
 ハ、密植をしないこと。
 ニ、種類に適した場所を選ぶこと。
 ホ、病気に強い品種を選ぶこと。
 ヘ、有機質肥料を施すこと。
 ト、こまめに手入れをすること。
無農薬栽培に適した土
 イ、水はけが良く、過湿にならない。
 ロ、適度に水を含み、乾きすぎない。
 ハ、土と土に間があり空気が入りやすい。
 ニ、肥料を十分に含む。
家庭菜園向きに土質を改良する
 イ、有機質を施す。
 ロ、十分に耕す。
 ハ、堆肥をたっぷり入れる。
 ニ、土壌を中性か弱酸性中和に努める。
タネの上手な選び方
 イ、まず作りやすい野菜を選ぶ、種物屋さんは固定し、そこのおじさんから情報を仕入れる。
 ロ、信用のある有名種苗会社の製品を選ぶ。
 ハ、採種年月と発芽率を確かめる。
苗の上手な選び方
 イ、値段の安いものは避けたほうが良い。
 ロ、茎が太く、節の間隔が短いもの。
 ハ、葉に厚みがあり、色が濃いもの。
 ニ、下葉がしっかり付いているもの。
 ホ、葉や茎に病斑が見られないもの。
病虫害対策
 イ、堆肥を十分に入れ苗をしっかりと育てる。
 ロ、ウネ作りを高くし日照、通風をよくする。
 ハ、有機質肥料でチッソ成分の多い、魚粉とか油かすを多すぎないようにする。
 ニ、多発期にはこまめに見回り早期発見捕殺する。
畑作りの植え付けから収穫までの手入れのポイント
 (1) 畑を十分に耕す、30センチ以上の深さによく耕す。
 (2) 苦土石灰をまく、畑の表面が白くなるくらいまき、土とよく混ぜる。
 (3) 堆肥をいれる畑の表面に堆肥をたっぷり入れ深めに耕しておく。
 (4) 土を盛り上げて寒気にさらす2から3週間風にさらす。
 (5) 作付け種類に適したウネを作る。
  イ、ナス、トマト、キウリなどよく茂る野菜は70から90センチ。
  ロ、キャベツ、ハクサイ、など中型野菜は60から70センチ。
  ハ、ホウレンソウ、コマツナなど小型野菜は50から60センチ。
  ニ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモなどの根菜類はウネを高くする。
 (6) タネをまく、種をまいたら、土をかけ鍬の背などで軽く押さえておく。
  イ、キャベツ、ハクサイ、カブ、ニンジン、ゴボウなど好光性種子は薄く土をかける。
  ロ、ネギ、タマネギ、ニラなど好暗性種子には厚く土をかける。
 (7) 発芽したら間引く、発芽がそろったら1回目を、本葉がそろったら2回目を間引き密植を避ける。
 (8) 追肥を施す、トマト、ナス、キウリなど長期間収穫を続けるものは月1回程度追肥を施す。
 (9) 中間耕作土寄せを行う、ウネの間を耕し風通しをよくし根の働きをうながし株元に土を盛る。
 (10)収穫する、果菜類は成熟したものから、ナスなどの生育初期の段階ではつとめて小果で収穫し樹の負担を軽くする、葉菜類は間引き収穫、根菜類は区画収穫する。
 (11)収穫後の後始末をする、収穫が終わったら病虫害の予防の面から、しっかりと後始末をしておくこと、来年のための大切な作業である。
  イ、雑草や枯れた物は集めて焼くか、堆肥の材料とする。
  ロ、枯れた枝や茎葉は焼却し土中に埋める。
  ハ、連作障害の出やすい野菜の茎葉は堆肥の材料にしない。




6月の菜園


なすび>
(1) 一番花が付いたら、その下ノ脇芽2本と主枝を伸ばし3本仕立てにする。
(2) その他の腋芽は早めに摘み取る。
(3) 6月上旬頃2メートル程の支柱を立て針金でY字型に誘引する。
(4) 夏時は株元が乾燥するので敷ワラをして夏場に備える。。
(5) 古葉は摘葉し風通しと日当たりをよくする。
(6) 多肥料を好み乾燥に弱い、月に一回は株間にリン酸分の多い追肥を施す。
(7) 高温多日照を好む、光が不足すると落花しやすく果実の発育、光沢が悪くなる。
(8) 収穫は、早とりがこつ。

トマト
(1) ナス科の野菜で比較的栽培がむずかしい。
(2) 支柱は合掌にする。
(3) 葉の付根から発生する脇芽は小さいうちにかきとる。
(4) 第一花房は、本葉8〜9枚で付くのが普通。
(5) 第一花房の実が3センチ位になったら、株間にリン酸分の多い追肥をする。
    注) チッソ分が多いと茎葉ばかりが茂ってしまう。
(6) 日照、通風のよい場所を選び株元の乾燥に注意する>
(7) 完熟したものから順に収穫する、完熟トマトの味は格別である。

キュウリ
(1) ツルが40センチ位になったら整枝をする。
    親ツル1本仕立てを原則とする。
    親ツルの5節までに発生する子ツルはとりのぞく。
    それより上の子ツルは1〜2果着させ、その先1葉を残して摘心する。
    親ツルが支柱の上まで伸びたら摘心する。
(2) ささ竹、ワラ、ネット等を用い登りツル誘引をする。
(3) 梅雨明け後は高温が続き、株根に敷きワラをし病気と根の乾燥を防ぐ。
(4) 古くなった葉は摘み取り光をあてる。
(6) 5月下旬と7月上旬ウネの肩にリン酸分の多い追肥をし軽く土寄せする。
(7) 実が付いたら毎朝見回りハサミで切り取る、開花後7〜10日で収穫する。
(8) 早取りがコツ、株の負担が少く収穫量は増す。

ピーマン
 (1) 株の下部の脇芽はすべてかき取る。
 (2) ナスと同じく3本立てに仕上げる。
 (3) 梅雨あけ後は株根に敷きワラをし乾燥を防ぐ。
 (4) 長期間収穫するので、肥料を切らさないこと。
     月一回リン酸分の多い追肥を施す。
 (5) 一番果や実がたくさん付いた場合は早どりする。

かぼちゃ>
(1) 親ツルが30センチ位に伸びたら摘芯し子ツルを2本伸ばす。
(2) 雄花が咲いたら早朝に受粉するようにする。
(3) 実が大きく成ってきたら敷キワラをし病虫害と実の汚れを防ぐ。
(4) やせ地の場合は6月中旬にリン酸分の多い肥料を施す。
(5) 収穫は、開花から30日〜40日を目安とする。
(6) 収穫が遅くなるほど味がおちる。


7月の菜園


万寿満なす

1、
1.5センチ位の厚みに輪切りにして。
2、フライバンで焼き、こげみを付け。
3、味噌・砂糖・みりんの「味噌だれ」で、
  どうぞ。
フルーツトマト

1、少し冷やして、まるかじりが最高。
冬瓜(とうがんスープ)
1、皮をむいて、千切りに。
2、海老の殻を取り除き、小さくきる。
3、海老の殻で、スープだしをとる。
4、海老の殻をオイルでいため、水・
  コンソメ・酒を加え沸騰させる。
5、殻を取り出し、冬瓜と海老を入れて
  煮立てる。
6、最後に、塩胡椒で味付け。


<とうもろこし
(1) 株元からの脇芽は取る。
(2) 成長に合わせて土寄せする。
(3) 雄花の花粉が出始めたら、茎を振って花粉をまきちらす。
(4) 下部の雄穂はヒゲが出る前に取り除く、取り除いた実は夕食の逸品になる 。
(5) 吸肥力が強いのでリン酸分の多い追肥を施す。
(6) 雄花のひげが茶色になったら収穫敵期、甘い味を楽しむには、すぐに食べること。

<オクラ
(1) 生育にしたがってウネ肩を中耕し株元に土寄せをする。
(2) 草丈が40センチ位に伸びたらカリ分の多い追肥を施す。
(3) 花は奇麗ですが一日花です。
(4) 6センチ位になったらハサミで摘み取る。
(5) 収穫する時葉も切り取る。
(6) 収穫が遅れると堅くなり風味も衰える。

なすび
 (1) 秋ナスの収穫には、7月中旬に株の勢いが衰えた頃、枝を切り詰め、追肥と中耕してやる。
     若返り剪定のポイント
      1、枝の切り方の強弱
      2、株元の耕起と水やり・追肥
      3、株元への敷きワラ
きうり>
 (1) 古くなった葉は摘み取り光をあてる。
<ピーマン
 (1) 長期間収穫するので、肥料を切らさないこと。
 (2) 月一回リン酸分の多い追肥を施す。
 (3) 7月には株の周りに、8月にはウネの肩に施し、中耕してやる。
トマト>
 (1) 古くなった葉は摘み取り光をあてる。
 (2) 葉の付根から発生する脇芽は小さいうちにかきとる。
 (3) 8月中旬まで楽しめる。


8月の菜園



ピーマンは、鮮度がおいしさの決め手です。
張りのあるうちに食べます。
空気穴を開けたポリ袋に入れて
冷蔵庫に保存すれば5・6日はもちます。
適温は10度前後。
冷やしすぎると品質が落ちるので
野菜室で保存します。

「なすは風邪をひきやすい」といわれます。
風に当たるとしなびれてくるので
ポリ袋に入れて水分の蒸発を抑え
冷やしすぎないように新聞紙にくるんで
冷蔵庫の野菜室に入れて、早めに食べます。
乾燥ゴーヤ
1、縦半分に切り、中の綿を取り除く。
2、薄くスライスする。
3、天日で干す。
4、カラカラに乾燥したらできあがり。
5、料理に使うときは、水に30分くらい戻し、
軽く水を切っておく。


野菜つくりは、土つくりから


1)良い土の条件

 土が団子状態になってなく排水性、保水性、通気性に優れていること。
2)有機堆肥がなぜ植物の生育に有効か
 植物が養分を吸収できるのは、根から1メートル位の範囲です。土中の肥料を有効に吸収するために根の周りの土壌菌が植物の根から養分をもらう代わりに、無数の菌糸を延ばして養分を根に運んでもらう助けが不可欠です。
 土壌に有機肥料を混ぜることによって土壌の団粉化が進み、保水性や通気性が改善され、植物の根が良く発達し生育が活発になります。
 だから、植物の根と微生物が共有する条件改善には有機肥料が欠かせません。
3)堆肥作りのポイント
 準備T(材料集め)
  1、畑の野菜くずや草や有機ゴミを集め、乾いたところに薄く広げておく。(草の根の土はなるべく落とす。)
  2、生ゴミは、蓋付きのバケツと水受けトレイを用意し、バケツの底に水切り穴をあけておく。
  3、バケツは台所近くに置き、生ゴミを入れて行く。(肉・魚・調理済みおかず等は入れない方が無難。)
  4、底から汁が出てくる前に畑に移し、@と共に広げておく。
  5、使用する材料の種類が多いほど豊かな堆肥ができる。
 準備U(成分目安)
  1、生草や野菜くず等は窒素分を含む。
  2、家畜の糞、生ゴミ、豆類は窒素分が多い。
  3、枯葉や茶色の藁、おが屑、新聞紙、ダンボール、小枝など茶色系の物は炭素分が多い。
  4、緑もの(窒素分多)と茶色もの(炭素分多)を混ぜ合わせ、炭素分25〜30に対し窒素分1とするが適当。
  5、窒素分が足りない場合、堆肥塚は熱くならない、多すぎた場合は発酵して熱くなり、余分な窒素をアンモニアとして吹き飛ばし、炭素と窒素のバランスが取れるところまで分解を続ける。
 準備V(加えた方が良い物)
  1、石灰、海草エキス、前に作った堆肥、微生物土壌改良資材。
 準備W(堆肥枠作り)
  1、堆肥枠は規模が大きく、ボリュームが大きい方が熱が集まり発酵が進む。
  2、ユニットを数個作り、期間差で次から次と堆肥を作って行くと、かなりの量の堆肥を作ることが出来る。
  3、堆肥塚の設置場所は、、少し底上げされ排水性が良く、ふわふわした地面が良い。
4)堆肥仕込み作業
  1、緑物を集め、質が均等になるように全体をフォークで混ぜ、一山にまとめておく。
  2、まず、乾いた茶色もの(枯葉、木屑、切り藁、籾殻)を均等に広げる。その上に緑ものを均等に広げる。
  3、これを2回繰り返して、茶色・緑・茶色・緑の4層を作る。
  4、その上に、1握りの石灰か木の灰、米ぬかを振り掛ける。
  5、次に、微生物土壌改良資材(EM発酵肥料)か前に作った堆肥を2握りほど降り掛けフォークで表面を軽く混ぜる。
  6、水を霧雨状にしてまんべんなく降りかける。
  7、材料がある分だけ5層・6層と重ねて行く。
  8、全部積み終わったら、鉄筋などの棒で上からつついて、底まで穴を開け通気口を作る。
  9、空気がこもらないように、しかし雨がかからないように覆いをしておく。
 10、堆肥塚は翌日50度以上に、翌々日60度以上になればOK。
 11、2週間後に一度枠を開いて全体を切り返す。
 12、数回切り返しを行い、酸素供給を多くするほど良質の堆肥が期待できる。
 13、熱くならないときは塚を崩して、水分か窒素分か通気性かを調整しなおす。
5)失敗しないために
  1、堆肥作りのよくある失敗原因は水分の多すぎ。適切な水分量は堆肥塚全体の60〜65%がポイント。


EM発酵肥料(EMボカシ)の作り方

インスタント堆肥の作り方
  1、生ゴミ、草、米ぬか、鶏糞、油粕等を一緒にポリ袋に入れる。
  2、分解を促進するために畑の土を少し入れる。
  3、袋の口を結び、10箇所くらい箸で穴をあける。
  4、土に埋めると15日くらい、日陰に置くと30日くらいでチッソ・リン・カリを多量に含む堆肥ができる。
 注1、臭気がひどい場合、乾燥した落ち葉を加えるとやわらぐ。
 注2、魚やイカのはらわた等は臭いがひどいので入れないほうが良い。(入れても2〜3日で分解する。)
 注3、天気の良い日には蓋を開け、日光浴をさせると微生物の発酵を促する。
 注4、カラス、ねこに荒らされないよう注意。
 注5、入れてはいけない物。(プラスチック、貝殻、骨類、天ぷら油、金属、たばこ、大量の漬物・スイカ。)

モミガラ堆肥の作り方
  1、モミガラを広げる。
  2、その上にオカラ、米ぬか、鶏ふん、山土を広げる。
     (モミガラ6、オカラ4、米ぬか2、鶏ふん2、山土1)
  3、よくまぜた後に加水する(60%くらい)
  4、混合したら山積し、古ジュータンなどで覆い、保温・保湿する。
  5、10日後、1ヶ月後、2ヶ月後切り返しをおこない、全体的に均一発酵させる。
  6、温度が低下した後再び全体の5〜7%の米ぬかを加えて、もう一度発酵させる。
  7、2〜3回切り返して完成。

落ち葉・雑草堆肥の作り方
  1、落ち葉、雑草の刈取ったものなど植物体を集める。
  2、約30センチメートルの厚さに踏みつけながら積み上げる。
  3、水をたっぷりとかける(60%くらい)
  4、微生物の活動を促するため窒素分を加える(鶏ふん、牛ふん、尿素、化成肥料等)
  5、土を薄くかける。
  6、2〜5を繰り返し、1メートルくらいに積み上げる。
  7、4〜5週間後に切り返しを行い、熟成させ3〜5ヶ月で使用できる。