水の精






君はどこから来たの



雲に乗っての高い青い空から地界を眺めながらふわふわと飛んでいました。

ある日、友だち皆で話し合い地界に降りてみることにしました。


私が地界に降りたのは今から12年前、中国山地は蒜山高原の頂(いただき)に友だち皆で降りてきました。

友だちの多くは、頂の北側に降り日本海の方に流れて行きました。

私たちは南側を、時には地に潜り、木々と語り合いながら8年の歳月をかけて蒜山のふもと塩釜に下ってきました。


緑に囲まれた美しい谷川を下り、魚たちとたわむれ、岸辺のコケに潤いを与え、自然の流れに沿って湯原ダム湖畔にたどり着き、そこで2年間休みました。

そして、発電機のタービンを回して旭川を下り、旭川ダム湖畔でゆったりと1年間遊びました。


ある日、大雨に見舞われ一挙に放流、厳しい流れに乗って下流に流され、岡山市玉柏地先の管掛用水取入れ口に至っていました。

友だちの多くは、そのまま旭川を下り、祇園用水として岡山市東部に流れたもの。

また、岡山市浄水場に入って、水道水になったもの。

また、百間川を下ったもの、そのまま流れに沿って旭川を下ったものも多くいました。

私は、そこでみんなと分かれ管掛用水として西川を下り、都会の雰囲気も見てきました。


これからは、田植えの時期に向けて、みんなで田を潤し、青々とした田圃を見て心を癒し、大樋門から笹ヶ瀬川に出て、児島湖で半年ほどゆっくりと休み、瀬戸内海に出てゆきます。

瀬戸内海で、別れ別れになった多くの友だちと合流し、長旅の話をするのが楽しみです。


それからまた、友だちみんなで太平洋に向けて長い長い旅に出かけます。

そして、いつの日か、お空に帰ってゆきます。



  


水は、たいせつに。

水は、きれいに。

水は、私たちの命の源です。

PAPI