世 界 遺 産 (エジプト編 T)
5,000年の時を経て今なお輝き続けるエジプトは、圧倒的なスケールで見る者に強烈な印象を与える古代遺跡の宝庫。 想像を超えた巨大建造物、壮大な神殿、精巧で精緻なレリーフ、色鮮やかな壁画、贅の限りを尽くしたファラオの墓。 これら古代エジプト人たちが築き上げたすべての物はファラオたちの絶対的な権力の証であると同時に、神々への畏敬の 念と来世への祈りが込められている。5,000年の時空を超え、今だ色あせることのない古代遺跡はそこを訪れる人に無言 で語りかけ、永遠の美であることを教えてくれるようだ。 今回は、エジプトの南に位置するアブ・シンベル、アスワン、ルクソール東岸を訪ねた。次回は、ルクソール西岸、ギザ、 アレキサンドリアを訪ね、王家の谷、ピラミッド、考古学博物館などを見学予定。 |
アブ・シンベルは、エジプト観光のハイライト。砂漠の太陽に照らされた黄金の大地には、ラムセス2世の巨大な岩窟神殿 があり、訪れる者を圧倒する。砂漠の中に突如として出現する巨大神殿は、3,300年前に太陽の王と讃えられたラムセス 2世が建造したもの。ラムセス2世は、22歳で即位し、89歳まで国を統治、身長180cmの並はずれた体格で子供は200 人とも言われる超人的なファラオだ。カイロ考古学博物館では、ラムセス2世のミイラを見ることが出来る。 |
アブ・シンベル大神殿:200年前に砂に埋もれたこの遺産が発掘された。当地は金や象牙などの資源で裕福な地域だった。 |
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高さ21mのラムセス2世の巨象像4体:足元には妻ネフェルタリ像 | 飛行機から見た神殿:ユネスコの救済により水没の危機を脱した |
入口に並ぶオシリス神:年に2回だけ朝日が奥のラムセス像を照す | 小神殿:第1王妃ネフェルタリのために建造した |
アスワン・ハイダムと発電所 | ナイル川に浮かぶファルーカは観光名物 |
アスワンは、金、黒檀、象牙などの交易の中継地として繁栄した都市。また、神殿建築に欠かせない花崗岩の産地で あり、ここからルクソールへ巨石が盛んに運ばれた。ナイル川を利用して運搬されたため港町は活気にあふれた。 |
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切りかけのオベリスク:長さ41mの仕掛り品にはヒビが入り中止。周りに溝を作り、木製のくさびを差し込み、水をかけ木の膨張力で亀裂させる。 | |
石工が花崗岩を削るのに使った固い丸石 | 30m以上のオベリスクを作るのに何日間費やしたのか? |
エドフ神殿:保存状態の良い2,300年前の神殿でホルス神を祀ったもの | |
大列柱室:柱に刻まれたレリーフは鮮明に残り、色彩も多少は確認 | 当時の祭りに関するレリーフが数多く残る |
ルクソールが歴史に登場するのは、4,100年前。当時の王たちの権力を象徴するような神殿、葬祭殿、墳墓 が数多く残るエジプトを代表する観光地だ。 ルクソール東岸は、当時から「生者の都」と呼ばれ、今なお観光都市としての機能が集中している。東岸のハイライトは カルナック神殿とルクソール神殿だろう。どちらも荘厳な建築物の面影を今に伝えている。 |
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カルナック神殿:エジプトで最大規模を誇る神殿。王が神となった古王国時代、アメン・ラー神は最高の存在だった。 | |
牡羊はアメン神の聖獣とされ、信者を出迎える | アメン大神殿は、今も発掘中で広大な敷地をもつ |
大列柱室は圧巻:高さ15m、天井には色彩も残る | かつては、列柱室を天井が覆っていた |
ルクソール神殿:正面に25mのオベリスク、威風堂々としたラムセス2世像が坐る。後に代々の王が手を加え、増築する。 | |
大列柱廊の壁には祭りの行列が描かれている | 正面入り口:もう1本のオベリスクはフランスのコンコルド広場へ移設 |
この奥にアレキサンダー大王が再建した大王の間がある | 中庭にもラムセス2世の座像 |
中庭:柱の間にラムセス2世像が建つ | 壁に描かれたオペトの大祭り:民衆が神輿の行列に熱狂する |
☆エジプトの歴史遺産を訪ねて
@ナイル川・・・エジプト国土の90%が砂漠。しかし、1本の大河のナイル川が南北に縦断しているため、
古代からエジプトは極めて恵まれた土地であった。ナイル川の氾濫は肥沃な土壌を運び、
農作物が豊富にとれ、また船を使った鉱物資源が盛んに運搬されて文明の開化につな
がった。
A7,000年の歴史・・・紀元前5,000年ごろ、ナイル流域に定住した農民が最古のエジプト人。農業には、
共同作業が必要とされるナイルの治水工事などが必然的に生じ、次第に社会が形成され
ていったという。やがて支配階級が生まれ、紀元前3,000年ごろ統一されたようだ。
散 歩 フ ォ ト
ナイル川の両岸に広がる民家 | 基本的に屋根はない。雨が降らないので上を椰子の葉で覆うくらい |
農村風景:なつめ椰子とトウモロコシが多い |
農民の作業運搬手段はロバの引車が主流だ |