2005年(平成17年)1月21日
インフルエンザ

予防法とかかった時の注意点
 
 インフルエンザのシーズンです。インフルエンザは1〜2日間の潜伏期ののち、急激な発熱(38℃以上)、頭痛、のどの痛み、関節痛、筋肉痛、下痢などの症状がみられます。カゼよりも全身症状がつよいのが特徴で、ぐったりしてしまいます。時に、高齢者では肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれん、インフルエンザ脳症などの合併症がみられ、重症化することがあります。
 インフルエンザにかからないための予防法とかかった時の対処法につき考えてみました。

インフルエンザの予防
  1. ワクチン接種:予防の基本です。重症化の予防とくに死亡率の減少には大きな効果があります。大人は年1回、13歳未満の小児は年2回接種して下さい。ワクチンの効果が出るには、約2週間かかりますので、できれば毎年11月までには接種を受けて下さい。
  2. マスク:インフルエンザの感染は、咳、くしゃみなどによる飛沫感染です。飛沫は1〜2m飛散します。最近は、ウイルス防御用のマスクも多数市販されています。感染予防のため外出時には、マスクを着用しましょう。特に、インフルエンザにかかった方は、他の人にうつさない為にも必ず着用して下さい。
  3. うがい:帰宅したら、うがいをしましょう。うがいの方法は、まず1回口のなかをすすいでから、2〜3回のどの奥をガラガラとうがいして下さい。水道水でも効果はありますが、緑茶や紅茶でうがいすると、カテキンやテアフラビンといったお茶の成分がウイルスを不活化(感染力をなくすこと)するといわれています。また、うがいしたあと、のみこんでも、お茶なら安心です。なお、胃や腸にはインフルエンザウイルスとひっつくレセプター(受容体)がありませんので、ウイルスをのみこんでも感染の心配はありません。
  4. 加湿:空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下するので、インフルエンザにかかりやすくなります。また、湿度をあげるとインフルエンザウイルスの感染力が急激に低下します。湿度を60%程度に保ちましょう。加湿器の使用、洗濯物を干す、水を張った洗面器を置くなどの方法があります。また、ぬれマスクを口だけにあてて寝るのも有効といわれています。
  5. 予防薬:今年から、インフルエンザの治療に使う“タミフル”という薬がインフルエンザの予防にも認可されました。ただしその使用には次の条件がついています。対象はインフルエンザを発症した患者と同居する65歳以上の高齢者と慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、代謝性疾患(糖尿病など)、腎機能障害患者さんです。投与方法は1日1回、7〜10日間です。ただし、保険は利きません(自費です)。また、医師の処方が必要です。
    有効な方法だけに、受験生などにも認めてほしいのですが、今のところ認可されていません。
インフルエンザにかかった時
  1. 早めに病院へ:発熱後48時間以内に特効薬”タミフル“を服用するのが、最も有効です。通常1〜2日以内に解熱します。また、”タミフル“服用中はインフルエンザウイルスが感染細胞から外へでにくくなるため、周りの人への感染もかなり予防できます。
  2. 安静、睡眠を十分に:病気のときには、安静にして過ごすのが原則です。無理をすると、肺炎などの合併症をおこしたり、病気が長引いたりします。また、睡眠中に体の免疫力が回復するといわれていますので、十分な睡眠も必要です。
  3. 水分を十分に:高熱のための発汗、食欲低下、下痢などのため脱水になりやすくなります。脱水状態ではさらにぐったりしますので、水分を十分に摂ってください。スポーツドリンクやジュースなど飲みやすいものが良いでしょう。
  4. 自宅療養を:インフルエンザの発症後3〜7日間はウイルスが排出されているといわれています。最も量が多いのは発熱期間中ですが、発熱前および解熱後も2〜3日は出ています。従って、この期間中は学校や職場(とくに高齢者の多く集まる所)は休んで下さい。なお、届けをだしておけば、学校は欠席扱いにはなりません。
  5. 解熱剤に注意:小児ではインフルエンザ脳症の危険性を高めるため、バッファリン(アスピリン)、ボルタレン、ポンタールなどの解熱剤の使用は厳禁です。以前のかぜの時にもらった薬が家に残っていても、安易に使用しないで下さい。大人でもこれらの薬剤はひかえた方が無難です。カロナール(アセトアミノフェン)は安全といわれています。
    高熱の場合には、頭だけでなく腋の下や脚のつけね(ここには太い血管が走っている)も冷やすことが有効です。