なかい列伝  中井は気候風土に恵まれたことに加え、先人たちの努力により、歴史書に名を残す名士を輩出しています。この先人の足跡に学び、後世に引き継いでいきたいと思います。
大森一正 おおもり かずまさ 
1896〜1980(明治29〜昭和55)

 岡山縣工業學校教諭 大森一正君(高島村)

大森一正君
 君は明治二十九年五月十日高島村に父祐七氏の長男として呱々の馨を擧ぐ。父祐七氏は農業に從事せしも三十三歳を以て病歿せり。君は大正三年三月首席にて縣立工業學校を卒業し、直ちに縣廳土木課に勤務助手技手を經て、大正六年十一月十五日縣立工業學校の招聘に應じて、依願退職十一月廿九日より母校たる工業學校に勤務す。次で大正九年四月中等教員たる資格を得て、六月より教諭として奉職す。大正十三年七月文檢數學科合格。昭和二年一月史蹟名勝天然記念物調査会嘱託拜命。昭和五年小學校教員講習会開催講師に依嘱せらる昭和五年九月一日土木科長拜命。君は工業學校在學當時成績優秀なるを以て、特待生として授業料を免除せらるる事ニヶ年に及ぶと。君は趣味として青年時代尺八劍道を能くせしも近來俳句を嗜む又敬神の念深し。

昭和7年12月1日発行『上道郡案内誌』より