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2005/05/07 カエルのお家

岡山市海吉のわが町内会地内に、須田さんという「蛙グッズのコレクション」をされているお宅がある。

門柱の脇に立っている緑色のカエルの郵便受けがまず目に飛び込んでくるが、ちゃんと「SUDA」の名前入りのオリジナルだ。

門柱の上にも、そして邸内の玄関周りにも、お庭にも・・・・、数えてみると、そこだけで大小とり混ぜて実に84匹(体)のカエル様が、様々な大きさ・造り・ポーズで配してある。もちろん本物の蛙ではなく、置き物・飾り物の類だ。

門を入ると、まず1メートルほどの大きな蹲(つくばい)がデンと置いてあり、中ほどに穿たれた水溜めのまわりには6匹のカエルが岩からみごとに浮き彫りされていて、「カエルが6匹で“六蛙(ムカエル)=迎える”ですよ」とのこと。

 

 

ご主人に取材を申し込むと、「家の中はこんなもんじゃないですよ」と、ご夫妻で快く招じ上げて下さった。

なるほど玄関を一歩はいると、下駄箱の上にも階段の端にもたくさんのカエルグッズが置いてあり、その中の一匹は裃(かみしも)を着ていて「いらっしゃいませ」のポーズでのお迎えだ。

 

 

応接間に入ってまたまたびっくり!、飾り棚の中にも上にも周りにも、壁にも天井にも棚の上にも・・・ところ狭しと、でも整然と配されていて、「数えたことなどありません」とのことだが優に百や二百はありそうだ。

夫人主導のコレクションだそうで、昭和の終わりころから始めたそうだが、その後まもなくフとしたことで「“七福カエル”の一文に出会ってからハズミがついた」という。

みずからスイスで買ってきたカエルのついた時計、旭化成(株)のご好意で贈られた増永広春(水墨画家・書家)の翔蛙図(表装画)をはじめ、いままでに友人知人など140人ぐらいの人がお土産などに持ってきてくれたものを含め、日本各地はもとよりペルー、イタリヤ、ロシヤなどのありとあらゆる国と地域のカエルグッズ(掛け軸、縫いぐるみ、書状入れ、傘、電話機、香炉、長靴、水滴、ペンたて、蚊遣り、Tシャツ、花器、文鎮、はさみ、絵はがき、ブローチ、指輪、ネックレス、イヤリングなどなど)が、「いつのまにか、こんなに集まったんですよ」とのこと。

 

 

次の間へと目をやると、ピアノの上にはそれぞれに楽器を携えたカエルのオーケストラが並び、夫人の手づくりというピアノカバーにもちゃっかり6匹のカエルが刺繍してある。

「家を建てたとき、最初に亀と狸(タヌキ)と蛙を買ったが、カメは首がヘビみたいでいやらしいし、狸の信楽焼は値がはるし・・・」で、かわいいキャラクターをもち、ケロヨンとしても親しまれるカエルに落ち着いたことに、今更のようにご夫妻とも満足のご様子だ。

なるほど、玄関脇にタヌキが置いてあったが、その手にもちゃんとカエルが乗っかっているのはさすがだ。

どのカエルをとってみてもいやらしい印象はさらになく、かわいい、ユーモラス、おもしろい・・・そんなイメージが支配的で、芸術的ですらある。

合掌蛙の口からほのかに立ちのぼる香を聞きながら、幾多の愛しいケロちゃんたちに優しい眼差しを注ぎ、「カエルにまつわる話は枚挙にいとまがないんですよ」という須田夫人の話に、つい「カエル」のを忘れそうになった初老記者ではあった。

 

 

(写真・文:小野田)

 

 

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