大賀ハス復活に向けて
2012年(平成24年) 2月7 日火曜日 岡山市民版
庭瀬城祉(岡山市北区庭瀬)の内堀で、地元出身の植物学者大賀一郎博士(1883〜1965年)を顕彰するため、住民が育てている大賀ハスが存続の危機に陥っている。本来の淡紅色とは異なる別種の割合が増加。復活に向け、有志が新たな株の植栽計画を進めている。(岡村綾乃)
大賀ハス絶やすな
大賀ハスは大賀博士が千葉県で約2千年前の地層から種子を発見し、開花に成功した古代ハス。6、7月ごろの早朝に開花する。庭瀬地区では、千葉から大賀ハスの種子を譲り受けるなどした住民有志らが1997年、休耕田で育てた苗を内堀に設けた7鉢に移植。毎年、数鉢ずつ植え替えるなど、地元の邸内町内会役員らが手入れしてきた。
しかし近年は白などの別種が目立ち、昨夏は2鉢しか本来の色の花が咲かなかったため、97年から毎年行なってきた「観蓮祭」を中止した。植え替えの際に他の場所から分けてもらった株に別種が混じっていた可能性もあるという。
こうした現状に、同町内会副会長の浅野秋夫さん(65)が純粋種の植え替えを計画。白い花が咲いた1鉢を、住民が別の場所で育てている大賀ハスに3月初めに入れ替える予定で、賛同した約10人の住民らと専門家にノウハウを聞くなどの準備を進めている。生育が順調なら来年以降、残りの6鉢でも順番に行う。
浅野さんは「博士の古里で大賀ハスを絶やすわけにはいかない。いずれは栽培知識を持つ地元の住民で保存会を立ち上げ、守り続けたい」と話している。