幡多幼稚園PTA 人権研修会

投稿日:2018年9月26日

2017.6.14 幡多幼稚園PTA 人権研修会                                       9:20~ 幡多幼稚園2F ゆうぎ室

講師:中国短期大学教授  角田みどり 氏

講演
おはようございます…角田と申します、現在は中国短期大学で「保育士の養成」に関わっています。
今日は表題のお話をしたいと思います。
一昔前の「子ども達」も今は「大人」になって、どんどん…発達障がいのカミングアウトをしています。
関連の本も(沢山)出されていますが、周りの人たちの理解があればもっと早く対処できていたのかも
と思いますし、もっと勉強しておけば小学校での対処も変わっていたのではないかと、悔やんでいます。
※本当は発達障碍(はったつしょうがい)と書きたいのですが、“国の方での表現に使われてない”ので、やむなく「発達障がい」としています。
発達障がいを放置して(不対処で)おけば、最終的に「不登校」に成ります。
今から10年前(H19.7)に「学校教育法の一部改正」があり、この子たちを受け入れる環境も、それまで
の「特殊教育」から「特別支援学級」に名称が変わりました。
※「特殊学級」は「特別支援学級」に…盲学校・聾学校・養護学校についても、「特別支援学校」に変わ
りました。
でも“障がい”にはいろんなタイプがあります。
聴覚障害、視覚障害、知的障害…聴覚障害の子は、外からの刺激(音)の全くない世界に生きています
し、視覚障害の子は“色”や“目で見て”判断することが出来ない世界にいます…肢体不自由、病弱の
子もいます。
そして、そのどれにも分類されないタイプも有ります。…知能は高いけど周りに対応できない子や。自
分の欲望・衝動がコントロールできない(多動・飛び出し等の)子たちです。
この子たちを「発達障がい(自閉症)」に(学術的に)分類しました。
そして、1人1人のニーズ(ケース)に対応する教育が求められ、…現在の(少人数の)「特殊支援学級」で支援しています。
※この…【1人1人の人権を大切にする】という面からも、「特別支援学級」は年々増えている状態です。
発達障がい児の特徴を挙げると、
① 学級に入りにくい…自分の世界から出ない
② 集団行動を乱す…自分の興味を優先する(行動をコントロールできない)
③ 教室から、15分程度で飛び出す…理解できないことから逃避する
※大規模校は「フリー」の先生で対応…逃走を止めることが出来て、担任は正常に授業出来ますが、
小規模校では無理です。
④ 少しのことで、パニックを起こす…周囲から危害を受けるという危機感からの行動
⑤ 喧嘩ばかりする…自己主張の変形
⑥ その他
【学級崩壊】の根底を調べてみると、必ず数人の“発達障がい児”がいます。
※“周りから理解されない障がい”なので、学校としての(正しい)対処が出来ていなかったようです。
今は、【集団不適応】の子どもに「就学前の発達調査」を受けてもらい、小学校入学時からの特別支援がスムースに行くようになりましたが、まだ一部に「説得に応じない保護者」が存在しています。
※検査・支援が遅くなればなるほど、社会(集団)への適応が遅れます。
検査は、“5歳児の(平均的な)年齢相応な行動しているか?”であり、診察科は(1件)5,000円ですのでとても簡単ですが、約4ヶ月から半年の予約待ちとなっています。
就学前検査は、旭川療育センター・市中央児童相談所等で受け付けています。
診断名は、(大半が)「広汎性発達障害」となります…一部に「高機能広汎性発達障害」がありますが、
脳細胞の一部が機能していない状態の名称です。
症状は「3歳」のあたりから現れます…「躾」では改善できませんので、必ず専門医の診断を受けて
ください。
「療育(改善に向けての取組)」は、マンツーマンでしてください。
※”頭脳はとても良いが、行動面で社会に適応できていない子ども”は「2002年で0.3%」、「今年は10%」
です。
さて【原因】は?…全く解りません。
※妊娠中毒症・内分泌攪乱物質摂取・2歳までのテレビ・医学が(むやみに)進歩したから…等が世界中
で言われていますが、特定されていません。
【言葉かけのタブー】があります。
①ちゃんとしなさい!…「ちゃんと」の中身が理解できない。
②~したらダメ!…具体的な行動が示されていない・“~して良いもの“はなに?
③何度言ったら解るの!…何度聞いても、具体的な(解る)指示が無い
④どうしてできないの?○○ちゃんは、きちんとできるのに!…私に〝なにをどのように“させたいのか、
具体的に言ってください
・これらは「障がい」の特性を理解していない言葉です。
・また、「私たち(夫婦)は2人とも正常です…その2人の間の子どもが、なぜ「障害者」なのですか?」
と言われる保護者も有ります。
※この場合は、保護者の理解を得るまでが大変です。
・次に【発達障がいの分類】ですが、大人(40代から)にもいます…この場合は【うつ病】と診断される
ことが多いです。
※中には、本を読んで(自分で)【発達障害】と診断(判断)し、対処したので、よい方向に向かった方
もいます。
・一度に2~3件の(陳情等の)仕事を処理できなくなった、議員さんもいます。
学習障がい(LD)…読み・書き・計算が出来ない
注意欠陥多動性障がい(AD/HD)…行動面のコントロールが出来ない
高機能広汎性発達障がい(HFPDD)…能力的には高いが、主として対人関係(社会性)に問題有り
※従来は、上記の分類を「軽度発達障害」と言っていたが、現在は【発達障がい(自閉症スペクトラム)】
としています。
・「聴覚障害」「視覚障害」は戦前から言われていて、〝知的な遅れはないのに「読み」「書き」「計算」等が苦手な子ども″や「神経過敏症」も含むとされていました。
・「障害過敏」の世界は、全てのもの(音)が均等な雑音に聞こえるので、複数間の対話が出来ません。
・「学習障がい」の中には「識字障がい」も有ります…二重に見えたり、ゆがんで見えるので、教科書が読めませんが、眼鏡等で少しは矯正できます。
・「AD/HD」は、多動性(衝動性)があり…話や興味の対象もすぐに変わっていき、順番が待てなかったり、大声を上げることもあります。
※見守るか、他の仕事(興味対称)を与えるしかありません。
・「広汎性発達障がい」は一人遊びが好きで、視線が合わせにくく、目で見える物しか理解できないので、
①「対人面」では、人の気持ちが解らない
②「言語面」では、指示が理解できない
③「想像力」では、こだわりがあって、急なスケジュール変更に弱い
④「感覚面」では、触れられることを嫌がったり、偏食や臭い過敏がある
等のバランスの取れていない特性が、「発達のゆがみ」として顕著に現れています。
・「高機能広汎性発達障がい(自閉症スペクトラム)」の見られる有名人(過去も含めて)を挙げてみると、

①ニュートン…
②アインシュタイン…
③モーツァルト
④ビルゲイツ…
⑤トム・クルーズ…
等が(天才なのですが)存在しています。
・「広汎性発達障がい」の各症状は【連続しているもの】と認識されるようになり、今では「自閉症スペクトラム」としての分類が一般的になっています。
・情報の取り入れ方・処理方法・発信の仕方が一般の子どもと違う所があるので、【定型発達とは異なる】特性があると認識してください。
・子どもの「特性」としては、
①わざとしているのではない…それが、精一杯なのです
②何時も、自分だけが取り残されていると感じています
③周りから非難を受けることが多いです
④自分を、「だめな人間である」と評価している
※子ども自身が「生き辛さ」「困り感」を持って生活していますので、他の子ども達と比較したり、出来なかったことを叱ったりしないで、良い所を伸ばしていってください。
・また、
①視覚情報への親和性が大きい
②想像力が乏しい…常識が理解できない
③中枢神経系の統合力が乏しい…(複数案件の)同時進行処理が出来ない
④興味・関心・認識が、狭い所に強く向かう…会話や行動自体が、次につながらない
⑤予期しないことへの恐れがある…突発的なスケジュール変更が理解できない
⑥肯定は理解できるが、否定は意味として成立しない
⑦PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えやすい…インパクトのあったものを忘れることが出来ない
・「行動特性」は、
①自分のやり方で行動する…わがまま
②常識が身につかない
③得手不得手の差が大きい…詳しく説明しなければ理解できない
④相手の話を理解できない
⑤臨機応変・応用が苦手…但し、ジグソーパズルはできる
※脳の中枢神経に(少し)機能障害があって、2~3歳から症状が現れるが、環境・躾での発症ではない。
放っておくと「二次障害(不登校等)」・「三次障害(引き籠り)」へと進み、犯罪を引き起こす可能性
…但し、その割合は通常の人の方が多いです…も有ります。
→これは、親の無理解で加速されます。
・「支援・援助」について
(1) まず、違うこと(特性)を親にも認めさせる
(2) 環境を変える…特別支援学校(級)の数も増やす方向で
(3) 得意なところを(周囲が)認める
(4) 支援の仕方を工夫する
*活動の見通しを持たせる…少しずつ「変化」を説明する
少し早めに、準備・用意をさせる
準備等ができたら、ロールプレイ(シュミレーション)をしておく
*説明は「短く」「はっきり」と…1度に3つまでとする(3つ以上を提示すると、パニックになりま
す)
再度、認認識のする
雑音を減らし、繰り返し聞ける雰囲気を作る
*紙に書いて、あちこちに貼っておくのもよい
視覚情報が入りにくい場合は、適応できる方法をとる
図示(絵で表す・色を変える)のもよい
→手順や行動を示す、物の位置・場所を図にする、スケジュールを
「絵カード」にする
*指示や手順を、一定のパターンにする…クラスでの席替えは、しない方がよい
*家庭と学級での行動を、一定の手順にする…時計は針の方がよい
*言葉かけを、工夫する…綺麗にする→汚れたところを、雑巾で拭いてください
ちゃんとする→みんなと一緒に、行動しよう
そこにある→タンスの右下の、引き出しの中に入っている
やればできる!→〇〇が、上手にできたね!
なに!それ?→    (考えてみてください)
*抽象的な表現から、具体的な表現に…
*否定的な言葉から、肯定的な言葉へ…喧嘩したらダメ!→みんなと仲良くしよう
走るのはダメ!→ゆっくり歩こう
*ソーシャルスキル(社会性)を育てる…S.S.T.(ソーシャルスキルトレーニング)には、「絵カード」
を活用します
*叱るより褒めること…5回叱るより1回褒めた方が効果的
やろうとした態度を誉め、前より伸びた部分を誉める
※叱責は「PTSD(心的障がい)になりやすい
・「幼稚園における障がい児対象」については?
①子どもも親も保育者も、みんなで互いに支えあい・育てあうこと…教室から追い出すのは「体罰」です。
②多様な個性のある子どもたちと接し、考え・行動することで「心豊か」に成ります。
③高機能広汎性機能障がい(自閉症スペクトラム)の子どもは「プライド」が高いので、みんなの前で否定されると「不登校」に成ります。
親の不用意な言葉は、子どもを通じて(必ず)本人の耳に入ります。
・円滑な「小学校就学対策」について
①発達障がいの早期発見・療育の早期開始を勧めます。
②小学校(長)と早めに面接し、3月までに「入学体験」を済ませましょう。
③「通学体験」を繰り返しながら、入学式を迎えるようにしましょう。
お爺ちゃん・お婆ちゃんにも、(発達障がい)を認識して(認めて)貰いましょう。
※「情緒障害ですので…知的と区別しています。」というふうに…
⑤本人に無理をさせると、「不登校」に成ります…3年生あたりから、「転籍」して「支援学級(校)」に行く子もいます。
※「転籍」とは、主たる学級(校)に移ることです。
・終わりになりますが、保育者は「障がい」そのものを改善するのではなく…子どもの「困り感」を軽くする方向へ動いてください。
※例えば、「AD/HD(多動性)」は年齢が上がるに連れて緩やかになります。
・全ての子どもに対して、「どのように教育して育てていくか?が保育者の本務です。
・「発達障がいは個性である」ので…【人間的に見る】ことを忘れないで、【子どもたちにやさしい環境】を作っていけば、必ず、【全ての子どもたちにやさしい環境】になって行きます。
<質疑応答>
Q:地域の井上です。
言葉がけについては、私にも思い当たります。
(発達障がいの)原因は解らないとのことですが、その方面の研究は進んでいるのでしょうか?
A:それぞれの研究者が、自分の研究結果(主張)を出しています。
食品添加物もその1つですが、単独で{これ!}というものは、まだ、有りません…複合的な作用かも
しれませんし…(でも)絶対に、その子の【困り感】を無くす対応をしてください。
また、「大人の発達障がい」も沢山出てきていますので、社会的には(こちらの方が)急務かもしれま
せん。個々のケースで、対応も変わってきますので、是非、相談室の方もご利用願います。

 

カテゴリー:関・一席

SNS
検索
ページトップ