“手放す”と「手離す」を考える

投稿日:2025年8月27日

“手放す”と「手離す」を考える

NHKBSドラマ「舟を編む」以来…辞書を手放さなく(手離さなく)なった… ”手放す”とは…不用になった物を売る、寄付する、贈呈する又は捨てる…”放棄や解放”…”自由にしてあげる”の意味も含まれる(国語辞典)

最近の電気製品は、自分では修理出来ないように作られている…型が古く、部品がない…新品に買い替えた方が安上がり…電化ショップ店員の常套句に従いすぐ”手放し” “買い替える”文化…

餓鬼の頃…パンクは自分で見よう見まねで直したし…親は古いセーターをほどき別のセーターに編み直した…日本は古来から”修理”の文化が浸透…割れた茶碗は金継…包丁は自分で磨いでいた…新しくなくても…不完全でも…体感や愛着の共有に価値があった…が!大量生産が始まり…消費の速度が高まり…モノの価値観まで変わった…修理より”買い替え”文化が植え付けられた…買い替えしないとモノが売れず企業が困る?…何か変だと思わなくなった変な世の中に… そして…”手放す”風土が蔓延した…”手放し”では喜べない事態だ…”タイパ”にはかなわないのかな…

一方…「手離す」という言葉にも辞書のなかで出合った… 「手離す」とは…大事なモノを自分の手から離し…別な世界に手渡しする…距離をとり…新しい価値の伝承を見守る…”手離した後”も遠くからフォローする…そんな意味に私は感じた…

先日…新しい旅立ちをしたR君が久々に来宅した…しばらくの近況報告の後に…「先ほど護国神社にお参りしてきました、終戦記念日ですので」と…私はある”モノ”をR君へ旅立ちの記念品として贈呈したくなった…20数年間…手元に置いていた思い出深いモノを彼の手元に”手離した”… 私の手元に置いておくより…R君の身近にある方が似合っていると感じたから「手離した」… 傘寿を迎えた頃から…大事なモノや事は…その感覚を共有し大事に…愛でてもらうと嬉しい…”伝承”と”依託”が自分を豊かに素直にしてくれるから…そう想いながらエッセイをしたためてもいる…”ゴールドエイジ”から「シルバーエイジ(いぶし銀)」を目指して…自分自身を”修理”しながら…”買い替え”を先送り…部品交換しながら…余生を楽しみたい想う昨今です… なお”タイパ”くらいは辞書をひいて下さいね😀

記 北公民館講座ジェントルマン生きがい喫茶常連客 福森 芳郎

カテゴリー:おん野の滴

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