“最後の一葉”と”お婆さん”
投稿日:2025年12月31日
私が七十歳頃、ある”サ高住(高齢者介護施設)”のクリスマスパーティーでの出来事でした…その頃、私はその施設で”お話し相手ボランティア”をしていました…
職員の催し物やカラオケが終わり…”トリ”の「最後の一葉」の朗読が私の出番でした… 「不治の難病で入院中の”つーちゃん”と呼ばれる少女は毎日病室から大きなの木の葉っぱを眺めていました…冬を迎え葉っぱは散りました…一枚だけ残った葉っぱを眺めながら…あの葉っぱが散る時…私の命も散るのだと固く信じていました… クリスマスの夜…嵐がやってきてその葉っぱをゆすります…つーちゃんは気がきではありません…やがて疲れ果て寝込んで、朝を迎えました…窓の外にはあの葉っぱが一枚残っていました… 3日後…いつもつーちゃんを大事に見舞ってくれていた”猛爺さん”が急性肺炎で亡くなりました…つーちゃんは落ち込みました… ある看護師さんが話しているのがつーちゃんの耳にも入りました…「あの夜、猛爺さんに…梯子とペンチと針金はないかなと訊かれた…嵐の中、何するの訊いたら…”人助け”だと言いながら笑って雨嵐の闇夜に消えた…」との話
猛爺さんの葬儀の後…管理人が梯子を登り調べました…あの最後の一葉が針金できっちり結ばれていたそうだ…”猛爺さん”が命をかけてつーちゃんを救った話は彼女の耳にも届きました… それ以来…つーちゃんは”猛爺さん”に感謝しながら、苦い薬も飲むようになり…元気を取り戻しましたとさ…これで朗読は終わりました… 朗読後に私は…”つーちゃん”という名は私の孫娘の名…猛爺さんは死んだ私の親父の名前です…と紹介しました… シーンとした静けさを破ったのは…少し認知症ぎみのひとりのお婆さんでした…日頃は表情を出さない人でしたが…声を殺して泣いていました… 私も…ホールの皆さんも…黙って眺めていました…やがてポロポロと拍手が湧き…大きな渦になり…その歓喜はそのお婆さんに向けられていました…お婆さんの泣き声もやがて笑い顔に変わっていきました…
この拍手は遠く…この短編小説の作者”オー・ヘンリー”にも…温かいお”年玉”として届くことでしょう👏 善きお年をお迎え下さい 😀
記 北公民館講座ジェントルマン生きがい喫茶常連客 福森 芳郎
カテゴリー:おん野の滴
御野学区連合町内会