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第7回  「めじろ文庫」主宰者  :  赤松  百合子さん (2003/7/2)

めじろ文庫とは、“まちかどの小さな小さな子どもの図書室”で、毎月第4土曜日に赤松さん宅に集まってくる絵本やお話の大好きな幼稚園児や小学生のみなさんに、赤松さんや若いお母さんたちが絵本の読み聞かせをしたりお話(ストーリー テリング)をする活動の場だ。

赤松さんがこの道に歩を踏み入れるきっかけとなったのは、20歳代に幼稚園教諭として働いていたころ「絵本の力に魅了された」こと、そしてふと目にとめた「幼いときに本を味わう楽しさを身につけることができるかどうか。角がすり切れ、綴じ目が壊れそうになった一冊の絵本、1冊の物語の本を持つことができるかどうか、それはその子の一生を左右する」(天声人語/朝日新聞)という一文に決定的な衝撃をうけたことだという。

母親業に専念しはじめた昭和56年頃、岡山市立東公民館で4人の母親仲間で「かあさん文庫」(おそらく公民館での文庫の草分けだろう)を設立し、研鑽と活動の5年間を過ごした。

当時は公民館に絵本などはなく、「自宅から何箱にも詰めて、車で運んでの読み聞かせだった」と振り返る。

その後、ご主人の転勤で各地を転々としたが、平成9年に現在の岡山市海吉に居を構え、学区内の富山公民館の「ぽけっと文庫」に参加し、また、平成14年4月には前出のように自宅の一室を解放して「めじろ文庫」を設立〜運営するかたわら、月刊ミニコミ誌「めじろ通信」を発行している。

現在、メンバーは公民館や自宅の仲間たち約30人で、例会日にはお話や絵本の読み聞かせのほかゲームや工作などの楽しいお遊びも交えており、文庫からは明るい笑い声も聞こえてくる。

「子どもたちの目が輝き、いい笑顔が見られることがなによりの喜びと生き甲斐」という赤松さん。「出会う子どもたちはもちろんのこと、一人一人を大切に思うこと」、そして「初心を忘れず」「感動する心を持ち続けること」をモットーとする赤松さんは、めじろ文庫のほかに、現在「富山公民館ぽけっと文庫メンバー」「岡山ストーリーテリング研究会会員」「岡山県子ども文庫連絡会会員」「岡山子どもの本の会会員」として勉強と活動のかたわら、みずからの高齢の両親の介護にも精出す毎日だ。

会費もとらず、表彰も地位も名誉も求めず、ただひたすらに「子どもからお年寄りまでが、気楽に本や人に触れ、そして和めるめじろ文庫」にユートピアの夢を託す“本好きおばさん”は、五十路を越えてなおその志 無私清廉にして高潔、ますます意気軒昂である。

(文:小野田、写真:ご主人)

 

 

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