皮膚が乾燥することによって生じる,または乾燥によって悪化する皮膚病には以下の三種類があげられます。
@皮脂欠乏性湿疹(乾皮症,老人性皮膚そう痒症)                               2007年1月4日 院長
一般的には,中年以後年齢を重ねるごとに皮膚が乾燥し,かさかさの状態から痒みや湿疹を生じてくる皮膚病です。
症状が強くなると,円形のジクジクした状態(貨幣状湿疹)となります。
痒さでひっかくと,かいた場所やその周辺だけでなく,離れた場所まで湿疹ができてきます。
その状態を自家感作性皮膚炎といいます。
脛の前面が最も乾燥しやすい場所ですが,手足や胴体など全身のどこにでもみられます。
A小児乾燥型湿疹(アトピー皮膚)
子供の皮膚は大人に比べて薄く,外からの刺激にとても敏感です。
冬場で皮膚が乾燥する時期には,皮膚がカサカサになります。そこが衣服などで擦れると
痒みを生じ,皮膚炎を生じやすくなります。逆に夏場は汗の刺激によりアセモや皮膚炎を生じやすくなります。
B手湿疹(主婦湿疹,進行性指掌角皮症)
水仕事の多い人や手をよく使う仕事の人は,手の皮膚の脂分が減少し,
その結果手の皮膚の水分が減り,いわゆる"手荒れ"の状態になります。
症状が強くなると,痒みや皮膚の角化(バリバリと硬くなる),亀裂(裂ける)を生じてきます。

<治療薬>
@ステロイド外用剤
炎症に対する治療の基本となる薬剤です。
ステロイド自体の強さや、ステロイドを溶かしている基剤に様々な種類がありますので,年齢・症状・部位によって使い分けます。
A内服薬(抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤)
数年前から多くの薬剤が開発されてきています。以前は眠気を生じる薬剤が多くありましたが,
最近は眠気を生じることの少ない薬剤も開発されています。
B保湿剤外用
以下の薬剤があります。ステロイド外用剤と併用したり、炎症の無い場合には単独で用いられます。
サリチル酸軟膏
ビタミンA軟膏
  
ビタミンE軟膏
ヘパリン類似物質
尿素製剤
亜鉛華軟膏  

<一般的な注意>
@ひっかかないように心がけてください。
掻くと皮膚に傷がついて炎症が強くなり,それによって余計痒みが強くなるという悪循環に陥ります。      
Aお風呂は毎日はいって,石鹸を使用しても構いません。
但し,ナイロンタオルなどで強くこすったりはしないようにしましょう。
B室温を高くしすぎると,空気が乾燥するので良くありません。
C食事はバランス良く摂りましょう。
お酒はほどほどに。
Dストレスを避け,疲れを残さないようにしましょう。
睡眠を充分取りましょう。