T.外用療法 アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応が皮膚に現れたもので、 湿疹の中でも比較的長期かつ広い範囲に皮膚炎がある状態のことをいいます。 多くの場合、左右対称性に皮膚炎があり、顔、頚部、両肘、両膝などに症状が強い傾向があるのが特徴です。 アトピー性皮膚炎の治療方法としては以下のようなものがあります。 (1)ステロイド外用剤(軟膏、クリーム、ローション) ステロイドは正式には副腎皮質ステロイドというもので、 人間の体の中で作られ、体の状態を正常に保つために様々な作用を発揮してくれる物質です。 特に皮膚の病変に対しては炎症を抑えるという効果を発揮します。 ステロイド外用剤にはステロイドの強さ、基剤(ステロイドを軟膏やクリームに溶かし込んでいるベースとなる素材 によって多種類のものがあります。病変の重症度、広さ、存在する部位等によって適切なものを選んで使用する必要があります。 一般的に病変が重症であるほど強いステロイドを使い、軽症の場合には、弱いものを使用します。浸出液が出ているような病変には、 クリーム基剤のものよりも軟膏基剤のものを用います。体の部位によって、薬の吸収量に差があるので、例えば、顔や頚部では、 弱めのステロイドを用い、背中や手のひら等では強めのステロイドを用います。また、頭は毛髪がありますので、 液体(ローション)のものを使用します。 ステロイド外用剤についてはその副作用が様々なメディアで取り上げられていますが、 前述したように我々の体の中で作られている物質と基本的には同じものですから、 専門家による適切な処方を受ければ安全に使用することの出来るとても有効な薬品です。 (2)免疫抑制剤 免疫抑制剤(タクロリムス軟膏)は最近開発された薬剤で、成人用と小児用の二種類があります。 使用開始後1週間くらいは刺激感(ピリピリしたり、ほてったりします)がありますが、 1週間後くらいからは刺激感がなくなってくるのが普通です。 ステロイドと免疫抑制剤では病変に対する作用の仕組みが異なりますが、 最終的な効果としては炎症を抑えて皮膚の状態を良くするという点で同じです。 U.内服療法 アトピー性皮膚炎の治療の主体はあくまでステロイドや免疫抑制剤による外用療法です。 しかし全身に広がる病変や痒みが強い場合には補助的に内服薬を用いることもあります。 内服薬には抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤と呼ばれるものがあります。抗アレルギー剤には眠気や注意力低下を起こすという 副作用がありますが、最近はこれらの副作用を起こしにくい薬剤も開発されてきています。 V.アトピー性皮膚炎の治療にあたって普段気をつけること |
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